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ニューヨーク・ジェッツ
DE ジョン・エイブラハム
[文=アメリカンフットボール・マガジン

チームきってのパスラッシャー、DEジョン・エイブラハム
 一昔前、NFLを代表するパスラッシャーと言えば、レジー・ホワイト(元パッカーズ)やブルース・スミス(現レッドスキンズ)に代表されるように、圧倒的なパワーで相手ラインを打ち破るスタイルの選手が多かった。しかしここ数年、攻撃ラインは年々大型化の一途をたどり、今や体重130キロを越える巨漢も決して珍しい存在ではなくなってきている。この巨大化するラインの前では、いくらパワーあっても、そう簡単に相手ラインを押しのけることはできない。
 このようなパワー型DE受難の時代にあって逆に今、リーグを席巻しているのがスピード派のパスラッシャーだ。昨季、18.5サックをあげサック王に輝いたドルフィンズのジェイソン・テイラーは、体重が守備ラインとしては軽量の118キロしかない。当然のようにNFLの世界では決してサイズに恵まれているとは言えないが、彼はこの不利を補ってあまりあるスピードで敵をかわし、サックを量産したのである。ニューヨーク・ジェッツでプロ4年目のシーズンを迎えるジョン・エイブラハムも、テイラーと同じくスピード派DEとしてリーグを代表する力を持つ若手パスラッシャーである。
 米国サウスキャロライナ州ティモンスヴィルに生まれたエイブラハムは、高校時代から地元のラマー高校でトップアスリートとして活躍した。フットボールではDEとして州の代表選手に選ばれ、陸上の100、200メートル走でも地区大会のチャンピオンになっていたのだ。そして地元のサウスキャロライナ大学へ進学するや、1年生時から不動の先発メンバーとして出場し、4年間チームのサックリーダーとして活躍した。大学4年時にはDEからアウトサイドLBへコンバートされたが、彼のパスラッシュに影響は見られず、通算23.5サックを残した。これは大学歴代2位の記録であった。この活躍が評価され、大学4年時には所属するSECカンファレンスのオールスター一軍に選出された。そして2000年のNFLドラフト1巡、全体13番目(LBとしてはアーリントン、アーラッカーに次ぐ3番目)でジェッツに指名されたのだ。
 ジェッツではLBから慣れ親しんDEへ戻り、同じく1巡全体12番目で指名されたショーン・エリスとともに即戦力の活躍が期待されたが、プロ1年目は不本意なシーズンを送ってしまった。第6戦目でのペイトリオッツ戦、1試合2サックをあげる活躍をしながら、試合途中に故障で退場。残りシーズンの欠場を余儀なくされてしまったのだ。
 翌年、消化不良に終わったルーキーシーズンの借りを返すべく、エイブラハムはその本領を発揮する。シーズン開幕から右DEの先発ポジションをつかむと、そのスピードで相手守備ラインを次々と抜き去り、QBサックを量産した。最終的にサック数を13まで伸ばしたが、これはその年のリーグ6位タイ、ジェッツ史上9位の数字であった。またこの活躍により、ジェッツの守備選手としてはチーム史上6人目となるプロボウル選出を受けた。プロ1年目の6試合とこの年の10試合をあわせ、プロ入り以来最初の16試合であげた計14.5サックは、99年のジェヴォン・カース(タイタンズ)の並ぶNFL記録だった。
 そして迎えた昨シーズン、これまでにない相手攻撃ラインのマークを受けながらもエイブラハムは奮闘した。チームトップの10サックをあげるとともに、2年連続となるプロボウル選出を受けた。こうしてリーグを代表する若手サック・アーティストとしての地位を確立したエイブラハムに、チーム首脳陣がかける期待はとても大きい。今オフ、チームがWRラヴァーニアス・コールズやGランディ・トーマス、Kジョン・ホールといった主力選手の離脱を相次いで許した背景にあるのは、QBペニントンとともに今季終了後に契約の切れるエイブラハムを残留させるためのサラリーキャップ枠の余裕を残しておきたいからだったのだ。チームはペニントン同様、エイブラハムも、フランチャイズの将来を背負っていく存在と考えているのである。リーグ屈指の快速パスラッシャー、エイブラハムの存在なくして、ジェッツのディフェンスは語れない。


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