Wed, 06/09/2004 3:36 pm UPDATE
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HOT OFF THE GRIDIRON #113
「NFLの完璧な勝利」

モーリス・クラレット
 NFLは、“高校を卒業して3年経っていなければ、NFLに入る資格はない” というルールを守りきることに成功しました。米連邦地裁による2度目の判決でもNFL側が勝訴し、RBモーリス・クラレットとWRマイク・ウィリアムズはドラフト参加資格を得ることはできなかったのです。

 NFLの上級副社長ジェフ・パッシュは「上告の判決はNFLの長年の適格性規則に対する法的な挑戦が、何の根拠もないことを証明しました。」と述べました。また、パッシュは続けて「私達の訴えに対する、裁判所の迅速な対応に感謝します。それだけでなく、NFLの完璧な勝利を証明する結果に驚きました。」と述べました。

 元オハイオ州立大学RBモーリス・クラレットは第1回目の裁判で勝訴したものの、その後、2人の裁判官は彼の訴えを認めませんでした。

 4月のNFLドラフトにエントリーすることが許されなかったクラレットとウィリアムズは補足ドラフトへの参加資格を得ることを望みましたが、2人の願いは聞き入れられませんでした。

 現在クラレットとウィリアムズは監獄に入れられたのも同然の状況に陥ってしまいました。彼ら2005年のドラフトまでNFLに入ることは禁じられ、アマチュアの身分は捨てるという代理人契約を結んでおり、もはや大学でフットボールをプレイすることはできません。

 2月に、「NFLの “3 Year Rule” は連邦独占禁止法に違反している。クラレットにはドラフト資格がある。」 という判決が下されたとき、多くの人がその決定はプロおよびカレッジフットボールの両方にマイナスになるだろうと思いました。

 NFLでもNBAのような状況が起こるのではないかと心配する人が大勢いました。そのうち、NFLも高校を卒業したばかりの選手を受け入れるようになり、たくさんの若い選手が肉体的な準備ができる前にNFLに入ろうとする誘惑にかられるようになります。結果的に、カレッジフットボールおよびプロフットボールは何かしらのダメージを被ることになるのではないと心配していました。

 カレッジフットボールの世界でよく鍛えられ、高いレベルへと成長し、人間的にも成熟した選手だけが、NFLへと進むことのできるパイプを法律的に確保したポール・タグリアブーとNFLを称えたいと思います。
クラレットの挑戦により、NFLが法律上敗訴するのではないかと考えた人も大勢いました。もしそれが現実のことになっていたら、多くの大学選手がプロのレベルに達する前に大学生活を捨てる結果になっていたことでしょう。

 この判決で、クラレットとウィリアムズはどうなるのでしょうか?
 クラレットがオハイオ州立大学へ戻ることはありません。
 クラレットは2002シーズン、1年生のときに1,237ヤード、16TDという成績をあげ、全米チャンピオンの要となりました。2003シーズン前に、彼は家族と友達から金銭を受け取ったという疑惑でNCAAとオハイオ州立大学から調査を受けました。また、2003年1月には、オハイオ州コロンバスの中古車ディーラーから借りた車から盗まれた金額を過大報告したことを認めました。その罪で、クラレットは100ドルの罰金を科されました。

 今年はじめ、クラレットが春学期の登録をしたときには、オハイオ州立大学に戻りたいように見えました。しかし、4月のNFLドラフトに参加できるとした2月の判決後、春学期の授業へ出席することはありませんでした。
オハイオ州立大学の体育部長アンディ・ガイガーは、「クラレットがオハイオ州立大学でプレイすることはありません。」と言っていました。そして、つい先日、オハイオ州立大学は、モーリス・クラレットがオハイオ州立大学の学生でもなければ、オハイオ州立大学フットボール部の一員でもなく、今後、オハイオ州立大学のトレーニング施設を利用することは認めないという声明を発表しました。

 クラレットに残された選択肢の1つは、今シーズンは、カナダのCFL モントリオール・アロエッツでプレイすることです。これはクラレットにとっては危険な選択になります。給料は35,000ドルしかなく、もし深刻なけがをしたら、2005年のNFLドラフトで不利になります。

 ウィリアムズは、サザンカリフォルニア大学でプレイするための手続きを進めています。
ウィリアムズがNFLドラフトにエントリーする決意をしたのは、クラレット裁判の2月の判決が出てからでした。その判決が、“ドラフトにエントリーすることを認めない” という内容になっていたら、ウィリアムズがサザンカリフォルニア大学を去ることはなかったでしょう。

 NCAAは、選手が代理人契約に署名し、代理人から金銭や利益を享受することについて(マイク・ウィリアムズはそれらのすべてをしています)は、非常に厳格です。
 NCAA委員長マイルス・ブランドは、「これは特殊なケースです。裁判によって、NFLへ入ることが許されなかった選手については十分に考慮すべきです。」と述べました。
サザンカリフォルニア大学のヘッドコーチ ピート・キャロルは、「ウィリアムズが2月にNFLにエントリーすることを決めたとき、彼は学生としてもいい選手でした。彼が戻ってくることは歓迎します。」と言っています。

 これは、たいへん稀なケースですが、ウィリアムズが大学に戻り、今シーズン、カレッジフットボールでプレイするためには、下記のことをしなければなりません。

1.彼がプロのステータスのために受け取ったものをすべて開示し、受け取ったすべてのお金を返し、受け取ったすべての贈り物を返すこと。
2.代理人であるマイク・アザレリとのつながりをすべて断ち切ること。
3.勉学に励むこと。

 最後にあげた項目が、ウィリアムズにとっては最も難しいことでしょう。
 ウィリアムズは春学期に登録しませんでした。そして、既にはじまっている夏学期にも登録していません。キャロルは「ウィリアムズが大学を去ったとき、彼の成績は優秀でした。これは非常に特殊なケースですので、彼がサマースクールに登録する必要があるかどうかは疑問です。これは大学側の正式な復学要請を受けて、NCAAによって解決される問題です。」

 NFLの標準からみても、たいへん大柄で運動能力の高いWRウィリアムズはハイズマン賞候補に選ばれるでしょう。ちょうど、昨シーズン法的な問題でオハイオ州立大学がモーリス・クラレットを停学にする前に、彼が候補になっていたように。

 私の気持ちとしては、NFLの “3 Year Rule” に挑戦したことだけでなく、彼がオハイオ州立大学の奨学生選手としてフットボールをプレイする権利を失ったという点でも、モーリス・クラレットは愚かだったと思います。彼はフットボールフィールドでの才能があり、彼の笑顔を見た人は皆彼に惹かれます。

 私は2003年のBCSフィエスタボウルでオハイオ州立大学がマイアミ大学を破り全米チャンピオンとなった後に彼と話し、彼の態度に驚きました。彼は全米チャンピオンとなったことに対してほとんど喜んだ様子を見せていませんでした。私がどのように全米チャンピオンのお祝いをするのかと尋ねると、彼は、「特別な計画はありません。明日は筋力トレーニングをしているつもりです。」と答えました。

 昨シーズン、オハイオ州立大学は全米チャンピオン候補でした。しかし、もし、もっと優れたランニングゲームができていたなら勝てただろうという試合を2つ落とし、全米チャンピオンになることはできませんでした。クラレットがいないことで、オハイオ州立大学のラン獲得ヤードは1試合平均 175.6ヤードから124.2ヤードとなり、大事なところで貴重なプレイをすることができなかったのです。

 もし、クラレットがオハイオ州立大学に残って、1,000ヤード、15TD以上を記録していたら、オハイオ州立大学はビッグテンカンファレンス2連覇、全米チャンピオン2連覇を成し遂げていたかもしれません。クラレットはオールアメリカンに選ばれ、ハイズマントロフィーを受賞していたかもしれません。
 クラレットは、これだけの栄誉を受け、オハイオ州立大学との良好な関係を維持していれば、将来はきっと安泰であったでしょう。引退後はオハイオ州に住み、よい仕事を見つけていたと思います。フットボール狂のオハイオ州では、オハイオ州立大学フットボールのヒーローは、昔から、ヒーローと提携したいと考えている企業からの多くの誘いがあります。2度(1974−75年)のハイズマントロフィー受賞者、元オハイオ州立大学RB アーチー・グリフィンは、NFLを引退した後、オハイオ州立大学に雇われました。

 クラレットは、今、ドラフトされるよりも、大学で経験を積んだあとの方が、高順位のドラフト指名を受け、さらに高い給料を得たであろうことはほとんど疑いの余地がありません。クラレットは、愚かにも、大学でプレイすることとオハイオ州立大学との関係を失っただけでなく、将来のNFLドラフト順位も自ら低くしてしまったのです。

 私がこの件でいくつかの記事を書いたのは、大学とプロフットボールの将来にとって、たいへん重要なことだったからです。今月、高校と大学のバスケットボール選手が、大学でのチャンスを捨ててNBAドラフトにアーリーエントリーします。ほとんどの選手はドラフトされないか、NBAで活躍することができないでしょう。彼らはバスケットボール選手として成長する機会を失い、重要な生きる術を勉強し、将来のための実力をつける機会も失うのです。

 私は、NBAドラフトにあまりにも早くエントリーしすぎて、ドラフトされずに傷ついた何人かの選手を知っています。彼らと同じ様な思いをする若いフットボール選手の姿は見たくないのです。
ポール・タグリアブー、そしてNFLを称えます!

 たいへん多くのメディア人が、NFLは “3 Year Rule” を守り通すことができないと見ていました。NFLはよくやりました。そしてNFLPA(NFL選手組合)の重役ジーン・アップショーは、次のNFLとの団体交渉協約条項には、選手は高校を卒業して3年間はNFLに入ることはできないという項目を設けると述べました。これは、NFLへ入るための条件になります。そして、この条項によって、将来、“3 Year Rule” にどんな挑戦があったとしても、議論の余地はなくなります。

 “3 Year Rule” を完全にしておくことは、NFL、カレッジフットボールおよび多くの若い才能のある選手の将来に役立ちます。これはクラレット以外の皆にとっての完璧な勝利です。

SEE YOU NEXT TIME!
Bill Marklevits

back number
#115 「リッキー・ウィリアムズの引退はドルフィンズを茫然とさせました。」
#114 「ペイトリオッツは昨年よりもよいチームとなっているようです。」
#113 「NFLの完璧な勝利」
#112 「NFL2004年ドラフト レビュー」
#111 「マニングの願いが叶いました。」
#110 「“NFLドラフト 第1位指名権の行方は?”」
#109 「クラレットのルールへの挑戦は、NFLの根本を揺るがすものです。」
#108 SUPER BOWL 38 レビュー
「ブレイディがペイトリオッツを再びスーパーボウル勝利に導きました。」
#107 「SUPER BOWL XXXVIII プレビュー」
#106 「ファーヴがグリーンベイにマジックをまた取り返しています。」
#105 「ハイズマントロフィーが必ずしもNFLでの成功を確約するわけではありません。」
#104 「バッカニアーズからマジックが消えてゆきました。」
#103 「マービン・ルイスはベンガルズをプレイオフへ導く勢いです。」
#102 「ヴァイキングスは今、NFCで注目のチームです。」
#101 「ディック・ヴァミールはチーフスを好調の波に乗せました。」
#100 「モーリス・クラレットとポール・タグリアブーの対決」
#99 「バッカニアーズはNFLで最高のチームです。」
#98 「全米連覇を狙うオハイオ州立大学」
#97 「ジョン・グルーデンは連覇を狙います」
#96 「トミー・マドックスにどのぐらいの価値があると思いますか?」
#95 「NFLチームがロサンゼルスに戻る日は?」
#94 最善のオーバータイム方式とは?
#93 「NFL のチームはドラフトでディフェンスの選手を探しました。」
#92 「チャールズ・ロジャーズはドラフトで注目のトップアスリート」
#91 「カーソン・パーマーのインタビュー」
#90 「5人の新ヘッドコーチ」
#89 「グルーデンは高くなかった」
#88 「ジョン・グルーデン・ボウル」
#87 「マイケル・ヴィック − 君はどんな活躍をみせてくれるんだい?」
#86 「NFLで最も優れたチームはどのチームでしょうか」
#85 「モーリス・クラレット」
#84 「ジェイク・ポーターのタッチダウン」
#83 「エミット・スミスと偉大なラッシャー」
#82 「デトロイト・ライオンズの新しいスタジアム」
#81 「デイヴィッド・カーの試練」
#80 「大学街でのNFL」
#79 「2002ビッグテンカンファレンス プレビュー」
#78 「マイアミ大学ハリケーンズ、2連覇なるか?」
#77 「スティーヴ・マリウーチとトム・イゾー こどものころからの大親友 (後半)」
#76 「スティーヴ・マリウーチとトム・イゾー こどものころからの大親友 (前半)」
#75 「イーストコーストオフェンスがNFLにやってきた」
#74 「フットボールとサッカー」
#73 「さよなら、クリス・カーター」
#72 「プロフットボールの底辺は”アリーナフットボール2”」
#71 「ドラフトを振り返って」
#70 「新しいエクスパンションチーム、ヒューストン・テキサンズは、2002年のNFLのドラフトで、ナンバーワンピックを取るでしょう。」
#69 「ジョン・グルーデンとアル・デーヴィス」
#68 「ペイトリオッツが示しました。みんなが間違っていたと!」
#67 「第36回スーパーボウルプレビュー」
#66 「天はニューイングランドに味方した!」
#65 「マイアミ大は押しも押されもせぬ全米チャンピオンです」
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#58 「フットボールが戻ってきました。しかし、以前と同じではあるはずがありません!」
#57 「どのチームがローズボウルに進出するでしょうか?」
#56 「ヴァイキングズWRランディー・モスがついにNFL最高給選手です!」
#55 「ハイスクールNo.1QBがオハイオ州立大学入学を決意!」
#54 「ジェリー・ライスとサラリーキャップ」
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