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セントルイス・ラムズがスーパーボウルに優勝して、HCディック・ヴァーミールが引退した後、多くの人々は、昨季と同じようにラムズが成功するかどうか、疑問に思っていました。
確かに、1年間だけ素晴らしかったQBカート・ワーナーが、昨季リーグ、スーパーボウル両方のMVPに輝いたような、魔法のようなシーズンを繰り返せるはずはない、ルーキーHCマイク・マーツがスーパーボウル優勝チームに科せられたよりタフなスケジュールにどう対処するのか、ディフェンディングチャンピオンをやっつけてやろうと、全チームから標的になってどうなるのか、と思われていました。
スーパーボウルチャンピオンチームはだいたい、フリーエージェントの流出により、オフシーズンに襲撃されます。
ラムズも実際、OTフレッド・ミラー、Cマイク・グータドーリア、LBチャーリー・クレモンズ、さらにDEジェイ・ウィリアムスら8人の選手を失いました。
多くのクエスチョンが、今季を迎えるラムズには積み重なっていたのです。
私は、ディフェンディングチャンピオン、とくにQBカート・ワーナーをチェックするために、第3週セントルイスへ飛びました。
ワーナーは、ラムズのスーパーボウル優勝と自身のMVPを決めた、アイザック・ブルースへの73yds決勝TDパスの後、スーパーボウルのポストゲーム記者会見ではすっかり周囲を取り囲まれ、6ヶ月前までほとんど無名だった男が突然、フットボール界最大の有名人の一人になったのです。
とくにセントルイスでは、ワーナーはもはや、牛乳を買いにスーパーへ行くこともできないくらい、すぐにサインを求める人々に取り囲まれてしまったのです。
人々は彼の家のそばを通るときは、車の窓から顔を出し、写真を撮り、さらには彼にサインをしてもらうために、物を玄関先の階段に置いておく人もでるくらいでした。
 
NFLヨーロッパとアリーナリーグの経験者であるカート・ワーナーは、長い間貧乏だったため、インスタントラーメンで生活したり、フットボールのオフシーズンには、スーパーで袋詰めのアルバイトをして家族を養うなどしてきました。
昨季はNFLの定める最低年俸でプレーしたワーナーは、リーグ史上最も割の良い選手となり、4,353yds、41TDでNFLの全QBのトップになりました。
予想されていた通り、ワーナーはラムズと長期契約の交渉をはじめましたが、ラムズがワーナーと契約を結んだのは今シーズンが始まる数週間前のことでした。
ワーナーのポリシーで、彼はとりあえず1年358,000ドルの契約を結び、キャンプには最初から参加しました。
ワーナーはフットボールが大好きで、また、貧乏人として長いことベンチに座っていることが多かったので、先発の座をトレント・グリーンに手放したくなかったのです。
最終的に、ワーナーは1,150万ドルのサインボーナスを含む、7年4,635万ドルの契約を結びました。
ワーナーは1シーズンで、NFL最低給から、ブレット・ファーヴ、ドリュー・ブレッドソー、ペイトン・マニング、ティム・カウチら最高給クラスと肩を並べるリーグトップ選手となったのです。
 
TWAドームでは、ファンが新しいラムズのロゴの、#13カート・ワーナーのジャージを着ている姿を至るところで目にすることができます。
「ビッグスターはどんなプレーを見せてくれるんだろう?」
私はラムズベンチにできるだけ近い位置に陣取り、私の眼はワーナーにくぎ付けとなりました。
ラムズがオープニングのキックオフ(レシーブ)をした後、ワーナーは、1999年最も威力のあったオフェンスを率いて、リーグで最も弱い部類に入る若いセカンダリー陣の49ersディフェンスと対するために、人工芝のフィールドに飛び出していきました。
ラムズ25ydsラインからの最初のプレーで、ワーナーは素早いドロップバックからクイックスローで、クロスラウトで内に入ってきたWRトリー・ホルトへ15ydsほどのパスを投じました。
しかし、49ersもしっかり宿題をやってきたようで、右のLBウィンフレッド・タブスがホルトをしっかりと待ちうけ、楽々とパスをインターセプトしました。
ワーナーはベンチに戻ってくると、まずコーチ、マイク・マーツのところへ行き、話をしました。
こうしている間に、49ersはジェフ・ガルシアが最初のプレーで29ydsTDパスを決め、リードを奪いました。
ラムズの2回目の攻撃でも、49ersがタフなディフェンスを披露しました。
7プレー、49ydsのドライブの後、ワーナーは49ers29ydsラインで3rdダウン5ydsの場面を迎えると、WRオズザヒア・ハキームへのパスを失敗。
ラムズはジェフ・ウィルキンスの47ydsFGに封じられてしまいました。
その次のシリーズでも、マーシャル・フォークのランで3回25ydsを獲得した後、ワーナーはドロップバックから再び早いタイミングでWRトニー・ホーンへ15ydsのパスを投げましたが、今度は49ersのルーキーCBアーメッド・プラマーに、自身初となるインターセプトを許してしまいました。
ワーナーは明らかに憤慨してベンチに引き上げてきました。
そこをマーツに呼び止められ、二人は短く話をしたかと思うと、ワーナーはドリンクを取りに行きました。
マーツはその直後、ワーナーへメッセージを届けました。
ワーナーは、昨季オフェンシヴコーディネーターとして、ラムズのオフェンスをデザインしていた男がメッセージを伝えている間、頷いてこれを聞いて言いました。
49ersがFGでリードを10-3と拡げた2Q序盤、ワーナーは、オフェンスに「レッツ・ゴー!」とはっぱを掛けます。
マーシャル・フォークの右のタックルへのランで7ydsを獲得、さらにダイヴプレーで10ydsほどを獲得するナイスランを見せたかと思われたものの、これはGアダム・ティマーマンのホールディングで戻されてしまう。
さらに、自陣15ydsラインからの2ndダウン13ydsは、ワーナーがマーシャル・フォークへのスクリーンパスをオーバースロー。
3rdダウンは、49ersのルーキーLBジュリアン・ピーターソンにパスを叩き落とされてしまう。
ワーナーは再び、得点をあげることなく、フィールドから出てくると、49ersがディフェンスがうれしい誤算を喜んでいる一方で、ワーナーは、マイク・マーツにすぐさま噛み付きました。
「これが爆発的なオフェンスの発電源とは思えない。ワーナーはこの逆境をどう切り抜けるんだろうか」
セントルイスのホームのファンは、ワーナーにブーイングをしませんでしたが、TWAドームは無気味な静けさに支配されていました。
「マーツがワーナーに言ったのは、マーツがレッドスキンズ時代にQBコーチをしていた2シーズン(97〜98年)以来のかつての教え子、トレント・グリーンとQBをスウィッチする、ということだったのかな」
 
10-3とリードされて迎えた2Q中盤、ワーナーはフィールドに戻ると、立て続けにパスを決める。
トリー・ホルトへ19yds、アイザック・ブルースへ17yds、マーシャル・フォークへ19yds、ハキームへ4yds、そして最後はホーンへ18ydsTDパスを決めました。
ワーナーは拳を振り上げ、WRたちはボブ・アンド・ウィーヴのTDダンスをすると、観客も大騒ぎとなりました。
さらに自信を取り戻したワーナーは、アイザック・ブルースへ78ydsTDパスを決め、マーシャル・フォークも後半、3ydsTDランを決めました。
ワーナーのベストゲームではありませんでしたが、それでも394yds、2TDをマークしました。
ゲーム後、マーツは、ワーナー、「NFL最高のオールラウンドRBだ」と言ってマーシャル・フォークの2人を賞賛した一方で、間違ったプレーコールだったをしてしまった、とワーナーの2インターセプトの責任を認めました。
 
結果は41-24とみんなが期待していた通り、ラムズが49ersを下しました。
スティーヴ・マリウッチの卓越した手綱さばきで49ersは良いゲームを展開したものの、マーツがひとたび、ワーナーの価値の高いパッシングゲームに必要なアジャストをして、ボールを進めるようになると、49ersはラムズのハイスコアリングゲームについていくことができませんでした。
私は、ワーナーとラムズが勝ったことに対してはではなく、序盤の逆境を冷静に対処したこと、彼らが持つオフェンスの武器に強いインパクトを受けました。
ラムズは、ワーナーという素晴らしいQBに加え、トレント・グリーンをバックアップに持ち、さらには、オーランド・ペースという若くて才能のある左タックル(QBを守る責を負う人)、NFL史上最もスピードのある若くて層の厚いレシービング陣、そしてマーシャル・フォークという信じ難いマルチパーパス・バックを抱えています。

セントルイスのオフェンスは、11試合連続400yds以上を獲得するNFLレコードを持つなど、NFL史上最も得点力のある攻撃を展開しています。
5試合を終え、ワーナーは1,947yds、14TDを記録、これはダン・マリーノの持つ5,048ydsのNFLシーズンパッシングヤード記録を更新するペースです。
まだスターターとして2年目のシーズンを迎えたばかりのワーナーですが、パス成功率(72.1%)、平均パッシングヤード(11.8yds)、さらには現在のNFLのQBパッサーレイティングシステムで史上最高の数字となっている122.00QBレイティングと、いずれもNFLトップをマークしています。
NFLは1960年以降、あらゆる規定投球回数以上を投げたQBの統計上の到達度を元に、パフォーマンスに対してある一定の基準を、指標化してきました。
シーズン終了後で最も高い数字を残したのは、1994年のスティーヴ・ヤングがマークした112.8、昨季のカート・ワーナーは109.2でNFL史上5位でした。
この後、ラムズは第5週で、不幸なチャージャーズから614yds、53得点を奪って、圧倒しました。
ラムズのオフェンスが、ドン・コリイェルが指揮した1980年代のチャージャーズのオフェンスに最も良く例えられるのは、興味深いことです。
QBダン・フォウツを擁したチャージャーズは、1981年には1試合平均29.9点、82年には32点を奪い、いずれもリーグトップ。
同様に、フォウツも6シーズン連続してリーグのリーディングパッサーに輝きました。
ラムズHCマイク・マーツは、選手としてコリイェルを理想に掲げ、コリイェルのスタッフだったコーチ、アーニー・ザンピシーと1990年代前半はともに仕事をしました。
マーツは次のように話し、今のラムズと、チャージャーズのコリイェルの間に相違点があることを認識しています。
「コンセプトでは、共通点がたくさんある。私たちは選手のタイプを変えた。選手をより動かすことで、ドン・コリイェルがしたように、フィールドのどこからでもいつでもエンドゾーンを狙えるようにしている。フォーメーションのいくつかは異なるが、コンセプト、フィロソフィーは非常に似ているよ。」
11試合連続30得点以上をマーク、10試合連続オフェンスが400yds以上をマークしているラムズは、チャージャーズが82年から83年にかけてマークした11試合連続400yds超の記録を是非更新したいところでしょう。
歴史上、得点力で上位に入ったNFLチームの多くの成績が、ベストイヤーに結びつけているとは言えません。
NFL史上トップ10のうち、9チームは、その翌年、平均得点で5点以上前年を下回っています。
第5週を終えた時点では、ラムズオフェンスは、昨季NFLトップだった1試合あたり32.9点に比べても、43.4点と快走を続けています。
1年チャンピオンに輝いただけでは、NFL黄金期を築いたことにはなりません。
この爆発的なハイスコアリングオフェンスが、ラムズをNFL黄金期に導くことができるでしょうか。
ラムズは依然として、ディフェンスに弱点を残していますが、ラムズオフェンスが1試合40点以上を獲得しているときは、ディフェンスのミスを十分カバーすることができます。
相手ディフェンスは、なんとかして、ラムズを止めるスキームを生み出そうとしていますが、多くの武器を持っているために、だれか1選手だけをマークするということができないのです。
マイク・マーツの契約は2003年まで残っており、さらにワーナーは2006年、フォークは2005年、アイザック・ブルースは2006年、オフェンスライン全員でも2002年までそれぞれ安泰となっています。
ラムズがNFL黄金期を築くことができるか。その可能性は十分にあります。
このオフェンスを止められるとすれば、ワーナー、フォーク、もしくはキーとなるレシーバーがケガをするしかないように思われます。
ラムズがハイスコア・マジックをいつまで維持できるかは、時間が経てば分かるでしょうが、ただ、今現在では、ラムズオフェンスは、NFL史上最高に得点力のある攻撃なのです。
SEE YOU NEXT TIME!
Bill Marklevits
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