Thu, 08/28/2003 1:19 pm UPDATE
2004シーズン NFLとは NFLヨーロッパ NFLイベント NFLフラッグフットボール サイトマップ
NFLビギナー NFLマニア NFLエンタメ コミュニティレポート NFL JAPAN チアリーダー
   NFL JAPAN top page>NFLマニア>コラム
NFLマニア
シーズン関連トピックス
チーム関連トピックス
今週のプレイヤー、コーチトピックス
フランチャイズ物語
NFL戦略アナライシス
ビジネストピックス
コラム
NFL Report Japan

コラム


HOT OFF THE GRIDIRON #66
「天はニューイングランドに味方した!」

 チャールズ・ウッドソンとトム・ブレイディは、5年前、全米チャンピオンに輝いたミシガン大ウルヴァリンズのチームメイトでした。

 彼らはその5年後に、2002年のNFLプレーオフで最も物議を醸したプレーを演出した敵味方となるとは夢にも思わなかったでしょう。 気温が下がり、雪の降り続くニューイングランドのフォックスボロ・スタジアムで、レイダーズとペイトリオッツの両チームの選手は、スキー場を彷彿とさせるような新雪がフィールドを覆うフィールドを、前へ後ろへと戦いつづけました。

 レイダーズHCジョン・グルーデン、ペイトリオッツHCビル・ベリチックの両コーチは、前半を手堅いゲーム運びに終始、その結果、レイダーズが7-0とリードして折り返しました。

 3Qに入って、レイダーズは2つのFGを、ペイトリオッツは1FGをあげ、13-3とレイダーズのリードとなりました。 2年目のQBトム・ブレイディは、NFL今シーズンの最大のストーリーでした。

 昨年、彼はシーズンのほとんどを「インアクティヴ・リスト」(出場選手登録から漏れた選手)で過ごしました。

 第2週で、彼は負傷したQBドリュー・ブレッドソーの代役として試合に出場、その後、ペイトリオッツに11勝をもたらし、チームをプレーオフへと導きました。

 ブレッドソーが胸部のケガから復帰した後でさえ、ベリチックは、チームがブレッドソーにNFLで最も高給となる額を支払っている一方で、若手で勢いのあるブレイディを先発QBとすることを大いに悩んでいました。
 さて、ゲームは依然、雪が降り続く4Qに入りました。

 ペイトリオッツはここでノーハドルオフェンスを、そしてときにはノーバック体型を使い、プレーオフでのプレーをしたことがないブレイディにパスを投げさせ続けました。 193cm、95kgのトム・ブレイディは、次から次へとパスを決め続けました。

 その多くはTEジャーメイン・ウィギンズへであり、WRデヴィッド・パッテンへでした。
 ブレイディは雪の中10回連続してパスを決め続け、4Q中盤には、自らエンドゾーンに滑り込む、QBドローからのTDランでこの日チーム唯一のTDをあげました。

 レイダーズが3点のリードを死守する中、グルーデンはオフェンスでは堅実なプレーを選択し続け、結局、ペイトリオッツへパントで攻撃権を放棄することを余儀無くされました。

 フットボールファン、それにウッドソンとブレイディが一生忘れることのないプレーは、残り試合時間1分50秒、レイダーズ陣42ydsで迎えた1stダウン10ydsのペイトリオッツの攻撃で発生しました。

 CBチャールズ・ウッドソンが、レイダーズ守備陣の左端でスクリメージラインぎりぎりにセット。

 ブレイディがパスを投げるためドロップバックをするやいなや、ブラインドサイドからブリッツを仕掛けました。

 ブレイディはパンプフェイク(ボールを投げる振り)をして、ボールが再び彼の懐に戻ってきたとき、ウッドソンがブレイディの手をぴしゃりとはたき、ボールがこぼれたのです。

 これをレイダーズのLBグレッグ・ビーカートがリカバーし、勝利を決定付けたかに思われたのですが、このプレーはオフィシャルによる長い長いインスタントレビューに持ち越されました。

 そして、約10分の長いレビューの結果、ブレイディはパスを投げるモーションにあり、ボールにかかっていた力からして、パスインコンプリートである、とみなされたのです。

 サイドラインモニターでリプレーを観たリプレー担当のオフィシャル、ウォルト・コールマンは、多くのファンがファンブルとみなしたものを、インコンプリートと結論付けました。 コールマンの決定の根拠となった「腕の動作に関するルール」は次のところに記されています。

 NFLルール 3、セクション 21、アーティクル 2
 ノート 2;
 「チームAの選手が、パスを投げるために、腕をどのような形であれ、前へ振り出していたのならば、仮に選手がボールを自らの体の方向へ振り戻している最中にボールを失ったとしても、それはフォーワードパスの動作が始まっていることを意味する。また、選手が完全に自らの体にボールを引き戻した際に、ボールを失った場合は、これをファンブルとみなす。」

 ノート 3;
 「その腕を再びボールを投げるためにかざした際にボールを失った場合、これをファンブルとみなす。」
 ファンがテレビのスローモーション再生で観たものは、ブレイディが彼の投げるモーションをストップさせ、ファンブルの直前に、もう一方の手を添えてボールを持ち直そうとしている姿でした。

 「私がフィールドで見たところでは、彼の腕が前を繰り出される前に、ボールが弾き出たものと思いました。しかし、私がモニターでリプレーを観たところ、彼の腕は間違いなく、前の方へ繰り出されていたのです」とコールマンは試合後に説明をしました。

 何度となくリプレーを見せられた多くの人々にとってみれば、ブレイディの腕の動きは止まり、ウッドソンにヒットされる直前に、次のパスへの準備をしていたように見えました。 ペイトリオッツはこれにより、再び攻撃権を取り戻し、最後は、残り時間27秒、約10cmの雪が積もり、間断なく雪が降る中、アダム・ヴィナティエリが難易度の非常に高い45ydsのFGを決め、問題の「スノー・ボウル」の勝敗の行方をオーバータイムに持ち越したのです。

 ペイトリオッツはコイントスで勝つと、風上に向かって攻める攻撃権を選択。

 トム・ブレイディがパスを成功させ続け、ヴィナティエリの決勝27ydsFGに結び付けました。 チャールズ・ウッドソンとレイダーズの選手たちは大きなショックを受けました。

 ウッドソンはこう言っていました。
「私たちはニューイングランド・ペイトリオッツを相手に十分よく戦った。しかし、レフリーに対しては十分ではなかった。トム・ブレイディのファンブルについては、こんなことがあってもいいのか、というコールだった。彼は間違いなく、ボールを引き戻していたのだ。だから、明らかにファンブルだ。その判定がひっくり返るなんて、絶対に信じられない」

 サンフランシスコ−オークランド地域の高校に通っていたブレイディは、こう言っていました。

「ベイ・エリアの人々は怒り狂っているんじゃないかな。私はボールを投げようとしていたところだったよ。ブラインドサイドのチャールズの位置を測っていたんだ」 レイダーズのファンは、もう金切り声になっています。

 レイダーズのベテラン、ティム・ブラウンは、過去にオーナーのアル・デーヴィスがNFLに対して訴訟を起こしたことから、レフリーが一方の肩を持つようにNFLが仕掛けたんだ、という含みを持たせた発言までしています。

 ブラウンが言ったのはこういうことでした。

「みんなは、アル・デーヴィスとリーグの間の出来事は、フィールドでの出来事にまったく影響がないと言おうとしているようだ。しかし、本当にそうだとは俺の前では言わせない。あれは断じて、ブレイディの投げるモーションだったなんて事はない。彼らはオフシーズンも、なんどもレビューを見るに違いないだろうさ」 ペイトリオッツのファンにしてみれば、トム・ブレイディが雪中戦を制してチームに勝利をもたらしたことは、1976年プレーオフでレイダーズに敗れたときのお返しと考えるでしょう。

 この試合では、QBケン・スタブラーに対する不可解なラフィング・ザ・パッサーの反則が、後の決勝TDパスに結び付いていたのです。 いずれにせよ、明白なことは、「腕の動作に関するルール」がオフシーズンの間、見直され、書き換えられる必要があるということです。

 ペイトリオッツはAFCチャンピオンシップでスティーラーズとの対戦を得て、生き残ることができましたが、チャールズ・ウッドソンがカレッジ時代のチームメイト、トム・ブレイディへのプレーでファンブルを誘ったコールについて、レイダーズファンは不平を言いつづけるでしょう。彼らが生きている限り。

SEE YOU NEXT TIME!

Bill Marklevits

back number
#115 「リッキー・ウィリアムズの引退はドルフィンズを茫然とさせました。」
#114 「ペイトリオッツは昨年よりもよいチームとなっているようです。」
#113 「NFLの完璧な勝利」
#112 「NFL2004年ドラフト レビュー」
#111 「マニングの願いが叶いました。」
#110 「“NFLドラフト 第1位指名権の行方は?”」
#109 「クラレットのルールへの挑戦は、NFLの根本を揺るがすものです。」
#108 SUPER BOWL 38 レビュー
「ブレイディがペイトリオッツを再びスーパーボウル勝利に導きました。」
#107 「SUPER BOWL XXXVIII プレビュー」
#106 「ファーヴがグリーンベイにマジックをまた取り返しています。」
#105 「ハイズマントロフィーが必ずしもNFLでの成功を確約するわけではありません。」
#104 「バッカニアーズからマジックが消えてゆきました。」
#103 「マービン・ルイスはベンガルズをプレイオフへ導く勢いです。」
#102 「ヴァイキングスは今、NFCで注目のチームです。」
#101 「ディック・ヴァミールはチーフスを好調の波に乗せました。」
#100 「モーリス・クラレットとポール・タグリアブーの対決」
#99 「バッカニアーズはNFLで最高のチームです。」
#98 「全米連覇を狙うオハイオ州立大学」
#97 「ジョン・グルーデンは連覇を狙います」
#96 「トミー・マドックスにどのぐらいの価値があると思いますか?」
#95 「NFLチームがロサンゼルスに戻る日は?」
#94 最善のオーバータイム方式とは?
#93 「NFL のチームはドラフトでディフェンスの選手を探しました。」
#92 「チャールズ・ロジャーズはドラフトで注目のトップアスリート」
#91 「カーソン・パーマーのインタビュー」
#90 「5人の新ヘッドコーチ」
#89 「グルーデンは高くなかった」
#88 「ジョン・グルーデン・ボウル」
#87 「マイケル・ヴィック − 君はどんな活躍をみせてくれるんだい?」
#86 「NFLで最も優れたチームはどのチームでしょうか」
#85 「モーリス・クラレット」
#84 「ジェイク・ポーターのタッチダウン」
#83 「エミット・スミスと偉大なラッシャー」
#82 「デトロイト・ライオンズの新しいスタジアム」
#81 「デイヴィッド・カーの試練」
#80 「大学街でのNFL」
#79 「2002ビッグテンカンファレンス プレビュー」
#78 「マイアミ大学ハリケーンズ、2連覇なるか?」
#77 「スティーヴ・マリウーチとトム・イゾー こどものころからの大親友 (後半)」
#76 「スティーヴ・マリウーチとトム・イゾー こどものころからの大親友 (前半)」
#75 「イーストコーストオフェンスがNFLにやってきた」
#74 「フットボールとサッカー」
#73 「さよなら、クリス・カーター」
#72 「プロフットボールの底辺は”アリーナフットボール2”」
#71 「ドラフトを振り返って」
#70 「新しいエクスパンションチーム、ヒューストン・テキサンズは、2002年のNFLのドラフトで、ナンバーワンピックを取るでしょう。」
#69 「ジョン・グルーデンとアル・デーヴィス」
#68 「ペイトリオッツが示しました。みんなが間違っていたと!」
#67 「第36回スーパーボウルプレビュー」
#66 「天はニューイングランドに味方した!」
#65 「マイアミ大は押しも押されもせぬ全米チャンピオンです」
#64 「カレッジフットボール シーズン回顧」
#63 「ブレット・ファーヴは、NFL史上最強の鉄人QBです」
#62 「ダ・ベアーズ」
#61 「ペンステイトのパターノが、NCAA通算最多勝利を記録」
#60 「フットボールと戦争」
#59 「第3週を終わって、チャージャーズがまだ負けていません!」
#58 「フットボールが戻ってきました。しかし、以前と同じではあるはずがありません!」
#57 「どのチームがローズボウルに進出するでしょうか?」
#56 「ヴァイキングズWRランディー・モスがついにNFL最高給選手です!」
#55 「ハイスクールNo.1QBがオハイオ州立大学入学を決意!」
#54 「ジェリー・ライスとサラリーキャップ」
#53 「2002年 NFL再編成」
#52 「NFLドラフトレビュー」
#51 「NFLドラフト全体1番目指名権を持つ男、チャージャーズの新エグゼクティヴ・ヴァイス・プレジデント兼ゼネラルマネージャー、ジョン・バトラーとのインタビュー」
#50 「NFLドラフト プレビュー」
#49 「NFLセカンドシーズン」
#48 「RBロバート・スミス引退!」
#47 「NFLコーチに対する勝利へのプレッシャーはどんどん上昇しています!」
#46 「レイヴンズがスーパーボウル優位!」
#45 「NFLプレーオフには、フットボールの興奮が詰まっています!」
#44 「12月はコーチの入れ替わる時期です」
#43 「新HCゲイリー・モーラーは、ライオンズに覇気をもたらす!」
#42 「レイダースが、AFC各チームをびびらせています!」
#41 「ダンテ・カルペッパー、ヴァイキングスをNFLトップに導く」
#40 「ラムズオフェンスは、NFL史上最高に得点力のある攻撃なのです」
#39 「多くの日本のNFLファンには辛い時期ですね」
#38 「カレッジシーズン、キックオフ!」
#37 「フットボールの匂いが漂ってきました!」
#36 「ジョーイ・ギャロウェイ〜カウボーイズ期待の選手」
#35 「チームメイトだったブラウンとアーリントンがドラフト1-2番目」
#34 「ミシガン州立大とNFLドラフト」
#33 「エディー・ジョージ "THE BEAST"」

→戻る