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HOT OFF THE GRIDIRON #68
「ペイトリオッツが示しました。みんなが間違っていたと!」

 アメリカのスポーツ史上、最大の番狂わせと言えるかもしれない素晴らしいチャンピオンシップゲームにおいて、ニューイングランド・ペイトリオッツは、私を含め、大勢の人々が間違っていたことを、20-17でラムズを下したことで証明して見せました。

 ペイトリオッツは、大きく14点差で負けると見込まれていました。
 しかし、彼らはいまや、NFLチャンピオンなのです。

 ペイトリオッツのKアダム・ヴィナティエリが、残り時間0秒に、サヨナラ48ydsFGを決めた時点で、圧倒的有利と見られていたラムズの夢は、悪夢へと変わりました。


 ペイトリオッツの番狂わせは、1969年に第3回スーパーボウルで、QBジョー・ネイマス率いるニューヨーク・ジェッツがボルティモア・コルツを16-7で下して以来の最も衝撃的なスーパーボウルとなりました。

 当時、コルツに18点の優勢が謳われ、AFCがスーパーボウルに勝利したことがなかったという事実があったにもかかわらず、ネイマスは自分がジェッツに勝利をもたらすと快活に言ってのけました。

 スポーツがその魅力を大きくアピールするものに、番狂わせがあります。

 最も強いチームがつねに勝つのであれば、ファンはゲームを観る理由などありません。

 アメリカの4大メジャースポーツの中で、チャンピオンシップゲームを1試合しか行わないのはNFLだけです。

 MLB(野球)、NBA(バスケットボール)、NHL(ホッケー)はいずれも、7試合のチャンピオンシップシリーズにより、チャンピオンを決定しています。

 映画のタイトル通り、どの日曜日に、どのチームが勝ってもおかしくないのがフットボールです。

 仮に7試合のプレーオフシリーズが行われていたとしたら、私はラムズが5試合、もしくは6試合を勝ってしまっていたと思います。


 フットボールの試合において、スコアボードの数字の次に重要なのは、ターンオーバーの得失差です。

 ラムズのハイパワーオフェンスは、獲得ヤードでペイトリオッツの267ydsを上回る427ydsを、ファーストダウンでもペイトリオッツの8回に対して、16回を獲得。攻撃時間に至っても、ペイトリオッツの26分30秒に対して、ラムズは33分30秒を数えました。
 しかし、ペイトリオッツが0だったのに対して、ラムズは大きな大きなターンオーバー3を記録してしまったのです。

 ビッグゲームになれば、ファンブルやインターセプトは最も重要なスタッツとなります。

 ラムズは3つのターンオーバーのうち、1つでも減らせていたならば、おそらくゲームに勝っていたことでしょう。

 しかし、一体だれが、ペイトリオッツの若いQBトム・ブレイディが0で、ラムズQBカート・ワーナーが3つのターンオーバーを犯してしまうなんて考えていたでしょうか。


 名誉はペイトリオッツ守備陣とヘッドコーチのビル・ベリチックに与えられるべきでしょう。

 ペイトリオッツは、カート・ワーナーのリズムを崩し、投げ急がせるべく、ニッケル(DB5人)、ダイム(DB6人)を使い、ハードなマンツーマンカバーに時折ブリッツを織り交ぜました。

 ペイトリオッツのセカンダリーが、レシーバーが落球するようにハードヒットを浴びせれば、ラインメンもハードなプレーから、投げる前、投げている最中、そして投げ終わった直後のワーナーを痛めつけました。

 古くからの格言「オフェンスがチケットを売り、ディフェンスがチャンピオンシップを勝ち取る」が、再び証明された形となりました。

 この日、ベリチックのディフェンスは、マイク・マーツの破壊力満点のオフェンスを抑えることが出来たのです。


 「ザ・プレー・オブ・ザ・ゲーム」は、1Q中盤、ワーナーがパスを投げるためにドロップバックし、投げるモーションの間にLBマイク・ヴレイベルにヒットされた場面でした。

 ワーナーからエース・レシーバー、アイザック・ブルースへのパスは、その軌道を歪められ、彼の背後(逆リード)に向かってしまうと、ペイトリオッツCBタイ・ローがこれをインターセプト。
 そのまま、サイドライン際を駆け上がり、逆転の47ydsリターンTDとしました。

 ワーナーの2つ目のインターセプトは、3Q終盤、WRトリー・ホルトが足を滑らせて転倒したところを、オーティス・スミスがインターセプトしたというものでした。

 ホルトの転倒は、スミスが、ペイトリオッツの「プレス・カバレッジ」のシステムに従って、忠実にスクリメージ上で強烈なバンプ(規定のルートを走らせないようにWRの進路を変えさせる動き)を食らわしたことによるものでした。

 ラムズが得点機会までボールを進めながら、少なくとも10点分を失ってしまった代わりに、ペイトリオッツは、3回のターンオーバーから17得点をあげました。

 ニューオリンズでのスーパーボウルにおいて、またしても、ミシガン大学出身の選手が鍵となりました。

 1997年には、パッカーズのデズモンド・ハワードの99ydsキックオフリターンTDが、ペイトリオッツを相手に35-21の勝利をチームにもたらし、ハワードがスーパーボウルMVPになりました。

 5年後、タイ・ローがゲームのモメンタムをペイトリオッツに引き寄せるビッグプレーを見せ、QBトム・ブレイディがミスのないプレーでMVPを受賞しました。


 思えば2年前は、カート・ワーナーが新しいヒーローで、スーパーボウルのMVPでした。

 今回のニューオリンズでは、ワーナーはミスを犯して終焉を迎え、いまやトム・ブレイディが新星NFL-QBとなりました。

 だれが想像したことでしょうか。

 もう一度、ペイトリオッツのビル・ベリチックを褒め称える必要がありそうです。
 高給のベテランQBドリュー・ブレッドソーがいながら、ホットなトム・ブレイディに信頼を置き続けたのですから。

 ブレイディはペイトリオッツの将来のQBとなり、ブレッドソーはトレードに出されることになるでしょう。


 タイ・ローはゲーム後、私にこう言いました。
「私たちは一つのチームだ。MVP(モスト・ヴァリュアブル・プレーヤー)などいないんだ。MVPの意味は、『モスト・ヴァリュアブル・パーソン・イン・ア・ブルー・ユニフォーム』さ。トム・ブレイディが受賞したけれども、みんながMVPさ。みんなが貢献し、私たちはこのチャンスを最大限活かしたまでさ。」

 その後、ラムズのカート・ワーナーは真のスポーツマンシップを見せてくれました。
 彼は歩み寄ってくると、ローと握手を交わし、彼に勝利の祝福を述べました。

 AFCチャンピオンシップゲームのスティーラーズ戦では、ベンチから飛び出し、ペイトリオッツを勝利に導いたドリュー・ブレッドソーも、栄誉を受けるに値する選手です。
 彼はこの間、ずっと、チーム優先に徹してきたからです。

 スターティングポジションをトム・ブレイディに明渡してしまったことは、本当にいたく彼を傷付けてきたことに違いないにもかかわらず、彼は決してベリチックの悪口を言わず、スポーツ史上最高額のベンチウォーマーでしたが、シーズンを通じて最後までチームをサポートしつづけました。


 スタジアムのアナウンサーは、ラムズのオフェンスがいたようにではなく、個々の選手が名前を呼ばれて飛び出してくるスタイルではなく、ディフェンスのスターター選手の紹介をしました。
 そして、選手みんなが一斉に飛び出してきたのです。

 フットボールは究極のチームスポーツです。
 ラムズには、カート・ワーナーやマーシャル・フォークといったビッグスター選手がいました。
他の誰もがペイトリオッツを信じていなかった中、ペイトリオッツは、自分たちのチームを信じるということをやってきたのです。

 私は彼が勝てるとは思っても見なかったので、みなさんは私をこの「大勢」に加えることでしょう。

 ペイトリオッツの大番狂わせは、記憶に残るNFLシーズンの最後を締めくくるに相応しい終幕となりました。


 1991年、湾岸戦争下で行われたスーパーボウルで、バッファロー・ビルズは、最後のプレーでビルズKスコット・ノーウッドが47ydsFGを外してしまったため、20-19で敗れてしまいました。

 そして、2002年、テロとの戦争の時期に行われたスーパーボウルでは、ペイトリオッツが最後の最後にKアダム・ヴィナティエリの48ydsFGで勝利を収めました。

 私は、NFL史上、この最高にして、最もエキサイティングなスーパーボウルの両方を、幸いにもスタジアムで体験することが出来ました。

SEE YOU NEXT TIME!

Bill Marklevits

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