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HOT OFF THE GRIDIRON #73
「さよなら、クリス・カーター」

自身の選手としての晩節を汚してしまったカーター
 最近になって、ミネソタ・ヴァイキングズのWRクリス・カーターが引退すると発表したことは、まったくの驚きではありませんでした。

 フィールドでのすばらしいプレーと、市民としても模範となる選手に贈られるNFLマン・オブ・ザ・イヤーに2001年に選ばれたクリス・カーターは、NFL史上、ミドル&ショートレンジでのポジションを最も得意とするワイドレシーバーでした。

 カーターは,他のレシーバー以上に、デフェンシブ・バックをうまくかわして、ポジションをゲインするために、サイドラインをまるで手足のように使っていました。通算成績1,093レシーブは、ジェリー・ライス(1,364)に次いで歴代第2位、レシービングヤードは第3位、タッチダウンは第4位の記録をもつクリス・カーターは、将来、確実にNFL殿堂入りを果たすでしょう。

 彼の銅像は、彼の故郷であるミッドタウンや彼がスターとして活躍していたオハイオ州立大学のあるコロンバスに近いオハイオ州カントンにあるホール・オブ・フェイムに置かれることでしょう。

 彼の引退が驚きでなかった理由は、彼の年齢とうぬぼれが、NFLのサラリーキャップという無情な現実と衝突していたからです。

 36歳という年齢にしては、WRクリス・カーターのコンディションは、スピードがわずかに落ちてはいるものの絶好の状態にありました。

 ジェリー・ライスはレイダースでプレーを続けるために、喜んでサラリーカットを受け入れました。しかし、カーターは、依然として少なくとも150万ドルのサラリーを望んでいました。あとは、ただ、#2レシーバーとして彼を使うチーム、プレイオフを戦えるチャンスのあるチームでプレーしたかったのです。

 ヴァイキングズとの契約を拒否したあと、カーターは、マイアミ、クリーヴランドおよびセントルイスを含むいくつかのチームの関心を引きつけました。

 もし、クリス・カーターがラムズを選んでいれば、アイザック・ブルースおよびトリー・ホールトに次ぐ#3レシーバーとなっていたはずです。それはまた、彼が切望したスーパーボウルリングを手に入れるチャンスであったかもしれません。

 しかし、カーターは自らこのチャンスを吹き飛ばしてしまいました。無理に入れたブラウンズとの契約交渉のあと、ラムズとの会談に遅れたのです。ラムズのマイク・マーツは、すぐに、カーターと契約することに、もはや何の興味もないと知らせました。

 マーツは、すでに1シーズンあたり150万ドルで2年間カーターと契約するとして、渋るラムズのマネジメント陣を説得していました。さらに、#3レシーバーにも、もっとボールを投げるようにオフェンスを変えようとしていました。しかし、カーターは、ブラウンズとの契約が400万ドル/年になるだろうと読み違え、このチャンスを逃してしまいました。

 その後、カーターは、マーツに謝罪しようと、約束の時間どおりにセント・ルイスに行かなかったことが間違いであったことを公に認めました。しかし、マーツが、カーターと話をすることはありませんでした。


サイドライン際のパスキャッチでは他の追随を許さなかった
 NFLで、カーターは、優れたレシーバーとして評価されていますが、その一方でチームの和を乱すうぬぼれや個性の持ち主ともされています。ミネソタの人々のなかには、クリス・カーターが、ヴァイキングズのスーパーボウル出場のチャンスを台無しにした癌だったと思っている人がいます。私はそれを真実であるとは考えていません。

 カーターには、彼自身にできる限りのベストプレイヤーになろうとする激しい競争心と旺盛な意欲がありました。また、カーターはランディ・モスの面倒を見て、彼に#1レシーバーの仕事を与え、NFLで成功するために何をすべきかを教えました。

 昨シーズンにサイドラインで起こした癇癪のせいで、クリス・カーターのNFLでのイメージがかなり変わってしまいました。

 カーターにとって、昨シーズンは、ヴァイキングズをスーパーボウルへ出場させる最後のチャンスでした。彼は、昨年1月のはじめにそのことに気づき、ヴァイキングズで、もう一度スーパーボウルを目指そうと引退を遅らせました。2001年1月には、ミネソタ・ヴァイキングズは、スーパーボウルを狙えるチームであるとみられていました。だから、クリス・カーターはもう1シーズンプレーする決心をしました。

 その後、春になって、ヴァイキングズのエースRBロバート・スミスが突然引退しました。これは、ルーキーRBマイケル・ベネットのランニングゲームに不安を残しました。

 しかし、本当にヴァイキングズにショックを与えたことは、オールプロOTコーリー・ストリンガーのトレーニングキャンプでの不慮の死ではなかったかと、私は思っています。あまりにもシーズン開幕に近かったため、オールプロ・ラインマンの代わりを見つけることは難しく、戦力ダウンを余儀なくされました。

 昨年9月11日の悲劇のテロリスト攻撃のあと、NFLの試合は9月23日(日)に再開されました。

 その日、私はシカゴのソルジャーフィールドにいました。多くの観客が予想していたことは、プレイオフを争うヴァイキングス対弱いベア−ズの試合でした。私もその試合をみるつもりでした。しかし、その日フィールドで見ていたものが、わずかに1試合ではありましたが、ヴァイキングズとベアーズの全シーズンの縮図になるとは思いもしませんでした。

 前半はヴァイキングス・ベンチのすぐ近くに立っていました。そのとき、目の前で起こっていることをほとんど信じることができませんでした。NFLの中でも、ハイパワーオフェンスチームの一つであるヴァイキングズが、ボールを前進させることができなかったのです。

 ストリンガーのいないOTでは、マイケル・ベネットが通り抜けていくべき道をほとんど作ることができませんでした。また、QBダンテ・カルペッパーは、常にプレッシャーをかけられていました。ベアーズディフェンスはランディ・モスを深く抑え込み、後ろには決して入り込ませませんでした。

 MLBブライアン・アーラッカーは全フィールドを鹿のように走り回って、ヴァイキングズのランやパスをことごとく止め、サックも決めていました。

 クリス・カーターはトレードマークであるサイドラインルートでオープンになりましたが、カルペッパーは彼にボールをパスできませんでした。カーターは、かなり興奮して、プレーのあとに手を上げるようになっていました。そこで、私は、彼がカルペッパーをどなりつけるのを見たのです。

 その日、ソルジャーフィールドで、テレビカメラや私のすぐ目の前にいたクリス・カーターは、まさに噴火した火山でした。彼は、ヴァイキングズのルーキーのジャージーを掴むと、今にも絞め殺してしまいそうにみえました。そのルーキーはパントの際に、ペナルティーをとられていました。

 また、ファーストダウンに失敗したあとには、カーターは、カルペッパーとヴァイキングスQBコーチをどなりながらベンチ戻ってきました。わたしは、コーチが選手を怒鳴りたて、叫ぶ光景はよく目にしていますが、これは全くその逆でした。大きな問題が起きつつあると感じました。ベテランのNFLスター選手だからこそ、コーチに怒鳴り、叫ぶことをしてはいけないのではないでしょうか。

 両チームとも0勝1敗で迎えたこの試合、ヴァイキングズはオフェンスに苦しんではいたものの、第3クォーター中盤まで10−0でリードを保っていました。このリードがあったにもかかわらず、問題がコントロールできなくなっていることを、ヴァイキングズのサイドラインに立っていたわたしは、はっきりとみてとることができました。

 オフェンスが思うようにいかないイライラから、ヘッドコーチのデニス・グリーンは、後半、オフェンスコーディネイターのシャーマン・ルイスにかわって、自身でプレイ・コールするようになっていました。

 そのとき、ホームの観客からの大きな声援をうけていたベアーズは、クォーターバックをシェーン・マシューズからジム・ミラーに代えました。ミラーの率いるベアーズは、ヴァイキングズがオフェンスで苦しんでいるうちに、連続17得点をあげ、1995年以来、はじめてシカゴでヴァイキングズに勝ちました。

 シカゴ・ベアーズはその試合から勢いに乗り、13勝し、NFCセントラルのタイトルを勝ち取り、プレイオフをホームフィールドで戦う権利を獲得しました。一方、ヴァイキングズは、5勝11敗の期待はずれの成績でシーズンを終え、ヘッドコーチのデニス・グリーンは最終戦を前にして、10年間務めたヴァイキングズから解雇される結果となりました。

 その日、クリス・カーターは、13ヤードの1キャッチをしただけでしたが、NFLでの評判は、テレビで何度も何度も繰り返し写し出されていた癇癪のせいで、かなり変わってしまいました。良くも悪くも、その時点から、クリス・カーターはヴァイキングズにとってはマイナスだと、思われるようになりました。これがメディアの力です。

 クリス・カーターは、ダン・マリーノとともにHBO放送のスタジオ・ショーで働く契約をしました。このサラリーは、2年間で80万ドルです。


ついにカーターがスーパーボウルリングを手にすることはなかった
 カーターは、「今までどおりフットボールをすることができることは分かっているが、私は自分勝手な振る舞いをする人ではない」と述べました。また、チャンピオンリングを手にすることができなかったことについて質問されて、カーターは次のように答えました。「WRアンドレ・ライズン(元パッカーズ)やアルヴィン・ハーパー(元カウボーイズ)がスーバーボウルリングを勝ち取ったからという理由だけで、彼らがわたしより成功していると言えるのですか? 私の能力を最大限に発揮し、できることすべてをしたとまでは、言うつもりはありません。ただ、フットボールに関しては、私がもっていたすべてを残しました」

 カーターは、これから先も今までどおりプレーすることができていただろうし、NFLでもまだ活躍できたでしょう。

 NFLのチームが35歳以上のレシーバーと高額の契約をしたくはないという現実があったとしても、信頼できる選手をどうしても欲しいというチームは、サラリーキャップの中で、何らかの方法を探すことはできるはずです。

 ラムズと契約できるはずだった金額の半分以下で、試合や選手についての解説をするために、放送機器を身につけることになった今シーズン、クリス・カーターは、自分で決めたことを最後まで責任をもってやり通す人だと認められるようにならなければいけないでしょう。

SEE YOU NEXT TIME!
BILL MARKLEVITS

back number
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#77 「スティーヴ・マリウーチとトム・イゾー こどものころからの大親友 (後半)」
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