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HOT OFF THE GRIDIRON #83
「 エミット・スミスと偉大なラッシャー」

 フットボールで、ランニングバックほど過酷なポジョンはありません。ランニングバックがボールをキャリーするときはいつでも、背中に大きな的をつけているのです。巨漢のディフェンス選手が、彼をまさに地面に倒して押さえ込もうとしています。ランニングバックの身体へのヒットはどれも危険で、キャリーの回数が多くなればなるほど、バックの身体へ負担も増えていきます。ランニングバックはタックルされれば、しばしば、いろいろな方向に引っ張られます。ときには、積み重なった選手の下敷きになり、ときには腕と足がからみあい、けがにつながることがあるのです。

 NFLの歴史のなかには、たくさんの偉大なランニングバックがいますが、1960年代のシカゴベアーズのスター、 ゲイル・セイヤーズのように、その多くはけがをして、キャリアを短くせざるをえなくなっています。

 ルーキーシーズンに2,272ヤード、22タッチダウンを記録し、NFLで話題になったセイヤーズは、はじめて膝をけがして以来、2度とルーキーシーズンのような活躍をするようなことはなく、わずか7シーズンで引退してしまいました。

 ゲイル・セイヤーズのように、ランニングバックは膝のけがで短いキャリアを余儀なくされるケースがほとんどですが、現代の医療技術はセイヤーズの時代に比べて、膝の手術をよりよく、かつ短時間できるようになってきています。

 NFLのキャリア・ラッシングリーダーの頂点に立ったエミット・スミスは、彼の才能とともに、その忍耐強さ、決意の固さは賞賛に値します。

スミスはおそらく幸運だったといえるでしょう。なぜなら、高校での4年間、大学での3年間、そしてNFLでの12年間、大きなけがをすることなく、ボールをキャリーし続けることができたのですから。

 スミスが受けたわずかの手術は、手の故障、肩の脱臼、足首と目のけがで、そのどれもが彼を長期間サイドラインに立たせておくものではなかったのです。

エミット・スミス キャリア記録 (10/27/02現在)
==============================================================
チーム 年数  キャリー ヤード 平均 TD
==============================================================
エスカンビア高校(フロリダ) 4 1,127 8,804 7.8 106
フロリダ大学 3 700 3,928 5.6 36
ダラス・カウボーイズ 13 3,929 16,743 4.3 161
==============================================================
TOTAL 20 5,756 29,475 5.12 303

 ボールをキャリーし、ディフェンスの標的になっていた20年間、エミット・スミスはボールを抱えた戦士であり続けました。彼は、バリー・サンダースのように脚光を浴びていたわけではなく、ジム・ブラウンのように大きくてパワフルでもなく、ゲイル・セイヤーズのようにスピードがあるわけでもありません。

 スミスが破ったラッシング記録をつくり、ひたすら記録を追い求めたウォルター・ペイトンのように、スミスは世界的スピードを持つわけでもなければ、からだが大きいわけでもありません。スミスとペイトンの素晴らしい所は、彼らはいつも落ち着いていて、堅い決意をもっていたということです。

 誤解しないでください。エミットもペイトンも俊足でたくましいですが、最速ではなく、最も注目を浴びていたわけでないというだけで、どの試合でも、最もパワフルなランニングバックであったことは間違いありません。

 エミット・スミスのスタイルは常にシンプルです。“穴をみつけ、そこを通り抜けていく。”彼はプロになってからキャリア平均で4.3ヤードを記録しています。12シーズンを終え、今シーズンには33歳になり、すでに8試合を終えた現在、平均4.2ヤードを記録し、彼のキャリア平均とほぼ近い数字になっています。

 多くの人は、クリーブランド・ブラウンズのジム・ブラウンがNFL史上最も偉大なランニングバックだと思っています。

 しかし、違う時代の選手を比べることは不可能です。なぜなら、試合自体が大きくかわってきているからです。現在の選手は大柄になり、俊足になり、プロテクターなどもジム・ブラウンがプレイしていた1960年代から比べるとかなり改良されてきています。また、NFLの試合数も、ジム・ブラウンの時代の12試合や14試合から、レギュラーシーズン16試合に長期のプレイオフシリーズと増えてきています。

 ランニングバックが現役中に、どの程度チームに貢献したかを示す1つの指標に、1キャリーあたりの平均獲得ヤードがあります。このカテゴリーでは、パワフルなジム・ブラウンがまだトップにたっています。

偉大なラッシャー
===============================
  5.2(ヤード/キャリー):
ジム・ブラウン ブラウンズ (1957-65)
---------------------------------------------
  5.0 (ヤード/キャリー):
ジョー・ペリー 49ers (1948-63)
バリー・サンダース    ライオンズ (1989-98)
ゲイル・セイヤーズ ベアーズ (1965-71)
---------------------------------------------
  4.7 (ヤード/キャリー):
O.J. シンプソン    ビルズ (1969-77)
----------------------------------------------
  4.4 (ヤード/キャリー):
ウォルター・ペイトン   ベアーズ
  マーシャル・フォーク     
エリック・ディッカーソン
  ジム・テイラー
----------------------------------------------
  4.3(ヤード/キャリー):
エミット・スミス  カウボーイズ
  トニー・ドーセット        
アール・キャンベル
----------------------------------------------

 生涯獲得ラッシングヤードは、決断力と長寿の指標であり、私が先に述べた大きなけがに見舞われなかった幸運の指標でもあります。

 エミット・スミスは「私はボールを抱え、魂とともに走っています。全ては私の魂のなせることです。」と言っていました。

NFL 生涯獲得ラッシングヤード
============================
エミット・スミス   カウボーイズ 16,743 (13年)
ウォルター・ペイトン   ベアーズ 16,726 (13年)
バリー・サンダース   ライオンズ 15,269 (10年)
ジム・ブラウン ブラウンズ   12,312 ( 9年)
O.J.シンプソン ビルズ、 49ers 11,236 (11年)
マーシャル・フォーク   コルツ、ラムズ 10,044 ( 9年)

 エミット・スミスは、NFLの試合とチームの練習のときはもちろん、1年を通して体のケアをすることに対しても熱心です。それは、常にNFLの偉大なラッシャーでいるための強さと持久力をもった最高のコンディションを維持するためです。

 先にあげたすべての偉大なラッシャーの中でも、エミット・スミスは、1992年、1993年、1995年にスーパーボウルで勝利をあげたカウボーイズでプレイができて幸運でした。

 大きなけがをすることもなく、おそらくペイトンの記録を打ち破ることができたであろうバリー・サンダースは、“なぜ今?”という多くの疑問を残したまま1999年にNFLを去っていきました。それは、おそらく負けの込んだチームで何年もプレイした欲求不満によるものであったのかもしれません。

 記録は破られるためにあります。

 スミスのように、1つのチームだけでプレイしたペイトンは、45歳という若さで癌で亡くなりました。ペイトンは言っていました。「私は、記録に挑戦する次世代の選手が、気持ちを奮い立たせることができるような記録をつくっておきたかった。」

 エミット・スミスは偉大なウォルター・ペイトンの記録を打ち破ろうとする“意気込み”をもっていました。そしてビデオテープにおさめられたペイトン未亡人の言葉には、「ウォルターはカウボーイズ22番が新記録を樹立したことをきっと喜んでみているわ。」とありました。

 将来のことについて、エミット・スミスは「チャージャーズのラディニアン・トムリンソンとラムズのマーシャル・フォークが、今のところはNFLのベストランニングバックで、記録をつくる可能性はあります。しかし、今、どこかの公園やフィールドで走り、練習している子供が、この偉業を成し遂げるかもしれません。」と言っていました。

 ランニングバックには誰でも、才能だけでなく、“幸運”とともに懸命さ、堅い決意が必要なのでしょう。

SEE YOU NEXT TIME!

Bill Marklevits

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