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HOT OFF THE GRIDIRON #85
"モーリス・クラレット"

 ときに、特別な才能をもったアスリートが出現することがあります。その選手は、数々の大舞台で、試合に大きな影響を及ぼすプレイをします。オハイオ州立大学の19歳の新人RB モーリス・クラレットは、10年おきに現れるそういった選手の1人です。

 オハイオ州立大学にとって、ミシガン大学とのシーズン最終戦は、BCSフィエスタボウル全米チャンピオン決定戦に出場できるかどうかがかかっていました。


オハイオ州立大1年生RBモーリス・クラレット
 オハイオスタジアムの記録となった105,539人の観客と全米でテレビ観戦をしている人々の前に、両大学からおよそ150人の選手がフィールドに姿を現しました。その中の1人、180cm、104kgの若者は、まぶしいばかりの運動能力と強いパワーをもち、その大試合のなかでも異才をはなっていました。
 ベテラン スポーツ記者、‘ピッツバーグ ポスト ガゼット’のボブ・スミジックは、モーリス・クラレットのことを “歴史上、最もすぐれた19歳のランニング・バック”と評していました。

 クラレットは、打撲した左肩を4種類のパッドで固定し、痛み止めの注射を打ちながらプレイしていました。たとえ、自分の肩が通常の20%の状態であったとしても、ミシガン大学戦には出場するというのが、彼の言葉です。
 10月26日のペンシルヴァニア州立大学戦で左肩を打撲してからの3試合は、限られた時間しかプレイしていませんでした。それらの試合では、左肩に直接衝撃が加わった直後には、痛みをこらえながらフィールドから出てきていました。
 オハイオ州立大学オフェンスは、100%の状態のクラレットが出場しているときは、1試合平均で36得点をあげています。しかし、クラレットがけがをして、出場時間が限られている状態のときは、1試合平均で20得点になっています。

 ミシガン大学戦の前半、クラレットが7ヤードの1st ダウンを決めて、肩を抱えてふらふらしながらフィールドから出てきたときには、オハイオ州立大学のファンは息が止まりそうになりました。
 2プレイ後、クラレットは試合に戻り、ミシガン大学陣内10ヤードラインまで、28ヤードを走りました。4プレイ後に、今度はエンドゾーンのコーナーをめがけて、右サイドに2ヤード 全力疾走し、先制のタッチダウンを決めました。
 オハイオ州立大学ファンの “モーリス! モーリス! モーリス!” コールが最高潮に達してきました。

 試合も終盤にさしかかりましたが、オハイオ州立大学は7−9でミシガン大学に2点差で負けていました。このままでは、全米チャンピオン決定戦への出場もさだかではありません。
 そんなとき、サイドラインでクラレットはヘッドコーチ ジム・トレッセルに近づき、バックフィールドに駆け込むのでサイドラインパスの指示を出すように話をしました。なんとかしてきっかけをつかみたかったので、トレッセルはクラレットにパスを出すように指示をしました。これがうまくいき、クラレットの26ヤードパスレセプションで、ミシガン大学陣内6ヤードラインに達しました。このクラレットへのパスが、結果的に、オハイオ州立大学が逆転タッチダウンを決める貴重なプレイになりました。
 試合後のクラレットのコメントです。
 「僕は、5歳、6歳、7歳だった頃からずっとフットボールをキャッチしていたよ。だから、これはストリート フットボールのようなものだよ。」
 「僕は、キーション・ジョンソン(NFLタンパベイ・バッカニアーズ)のように、どうしてもボールが欲しいだけだよ。そして、ボールを手に入れられるように動いているんだ。毎週全力でプレーし、シーズンをとおして全力でプレーすれば、必ずチャンスがくるんだ。だから、どうしてもボールが欲しい。ただ、ボールを手にしたいだけだよ。」

 9月中、モーリス・クラレットは嵐のように全米中の話題をさらっていきました。アメリカのスポーツ雑誌の表紙や新聞のトップを飾ることは珍しくありませんでした。ESPNマガジンには、クラレットはすぐにでもNFLで十分プレイできるし、NFLのこれまでの規則(選手は、高校卒業後3年間はドラフトされることができない。)をかえることができるかもしれないといった内容の特集記事が載っていました。


その笑顔にはまだあどけなさが残る19歳のクラレット
 その後、クラレットは自分がNFLに行こうと考えているといううわさを否定しました。また、最近になって、むこう2年間はオハイオ州立大学でプレイするつもりでいると言っていました。 
 クラレットは、バリー・サンダースのように、瞬間的にディフェンダーをかわして切り込める天性の才能があります。爆発的なスピードとパワーのある脚をしています。脚は太く、鍛えられた腕は筋肉質で、そして右肩にはタトゥーがあります。そのタトゥーは、英語ではありません。漢字の“信”です。これには、私もびっくりしました。しかし、その笑顔には、なんともいえないかわいらしさがあります。
 
 クラレットは、ビッグテンカンファレンスの新人賞を受賞しました。
 全米チャンピオン決定戦まで、あと6週間あります。クラレットは左肩に十分な休養を与え、彼のこれまでの人生のなかで一番大きな試合、BCSフィエスタボウル全米チャンピオン決定戦(2003年1月3日)に備えることができるでしょう。
 まだ、全米チャンピオン決定戦での対戦相手は決まっていませんが、おそらく昨年の覇者で現在BCSランキング第1位のマイアミ大学と対戦することになるでしょう。

 オハイオ州立大学は、偉大なランニングバックを輩出している大学で有名です。たとえば、エディ・ジョージ(NFLテネシー・タイタンズ)、ロバート・スミス(元NFLミネソタ・バイキングス)、アーチー・グリフィンです。ほかにも大勢のランニングバックがNFLでプレイしています。しかし、1年生のときに、シーズン最初の試合からスターティングメンバーでプレイしているのはモーリス・クラレットだけです。
 クラレットは3人の偉大な先輩を追い越しました。1年目のシーズンで1,190ヤードを走り、16TD(ランで14TD、パスで2TD)を記録し、ロバート・スミスがつくった新人のラッシング記録を破りました。

 どのようなスポーツにもいえることですが、大きな試合で活躍できる選手こそ偉大 な選手です。オハイオ州立大学のシーズンで、最も注目されているミシガン大学戦で、モーリス・クラレットはひときわ輝いていました。

 クラレットは、新人としてはじめて、カレッジフットボールで最も優秀な活躍をした選手に贈られるハイズマン賞の有力候補にあがっていますが、今年は、シーズン後半に限られた時間しかプレイしていなかったことで、おそらくハイズマン賞を受賞することはないでしょう。
 ハイズマン賞は、1シーズンに2,000ヤード以上を走ったペンシルヴァニア州立大学のRB ラリー・ジョンソン(4年生)(NCAA史上9人目)、もしくは、マイアミ大学のQB ケン・ドーシー(4年生)が受賞すると思います。
 しかし、来年は、クラレットが、2年生ながらハイズマン賞の最有力候補になることでしょう。そして、アーチー・グリフィンのように2度ハイズマン賞を受賞するかもしれません。

 NFLファンは、この特別な選手から目を離してはいけないと思います。

SEE YOU NEXT TIME!

Bill Marklevits

back number
#115 「リッキー・ウィリアムズの引退はドルフィンズを茫然とさせました。」
#114 「ペイトリオッツは昨年よりもよいチームとなっているようです。」
#113 「NFLの完璧な勝利」
#112 「NFL2004年ドラフト レビュー」
#111 「マニングの願いが叶いました。」
#110 「“NFLドラフト 第1位指名権の行方は?”」
#109 「クラレットのルールへの挑戦は、NFLの根本を揺るがすものです。」
#108 SUPER BOWL 38 レビュー
「ブレイディがペイトリオッツを再びスーパーボウル勝利に導きました。」
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#106 「ファーヴがグリーンベイにマジックをまた取り返しています。」
#105 「ハイズマントロフィーが必ずしもNFLでの成功を確約するわけではありません。」
#104 「バッカニアーズからマジックが消えてゆきました。」
#103 「マービン・ルイスはベンガルズをプレイオフへ導く勢いです。」
#102 「ヴァイキングスは今、NFCで注目のチームです。」
#101 「ディック・ヴァミールはチーフスを好調の波に乗せました。」
#100 「モーリス・クラレットとポール・タグリアブーの対決」
#99 「バッカニアーズはNFLで最高のチームです。」
#98 「全米連覇を狙うオハイオ州立大学」
#97 「ジョン・グルーデンは連覇を狙います」
#96 「トミー・マドックスにどのぐらいの価値があると思いますか?」
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