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HOT OFF THE GRDIRON #96
トミー・マドックスにどのぐらいの価値があると思いますか?

昨シーズン、10年越しにスターターの座を勝ち取ったスティーラーズQBトミー・マドックス

 読者のみなさん、NFLチームのオーナーになってみてください。
 昨シーズン、あなたのチームのスターティングQBと控えの2番手QBはなかなか結果を残せないでいました。そこで、控えの3番手QB、年棒は安く、NFL経験もほとんどなく、チームを転々としている31歳の選手にチャンスを与えてみました。ところが、なんと、その選手がすばらしい活躍をみせ、チームは勝利を重ね、プレイオフに進出し、第2回戦(延長戦)まで勝ち進んだのです。当然、この選手はチームNo.1 QBとして評価されるようになりました。
 あなたはこの選手をスターティングQBとして今シーズンを迎えようとしています。しかし、問題が出てきました。
 この選手の年棒は他のNFLチームのスターティングQBの年棒よりはるかに低く、あなたのチームの控えQBよりも低いのです。当然、この選手の代理人は他のチームのスターティングQBと比べても遜色のない年棒を要求してきています。しかし、あなたは、彼が今シーズンも安定した成績を残せるのかどうか不安があります。
 さて、あなたはこの問題にどう対処しますか? 
 選手と代理人が要求する高額の年棒に合意しますか? あるいは、これまでの契約を維持し、選手のやる気を奪ってしまいますか?
 みなさんもご存知のように、これは、NFL ピッツバーグ・スティーラーズのオーナー ダン・ルーニーとNFL 年間最優秀カムバック賞を受賞したQB トミー・マドックスが、現在直面している問題なのです。
 以前、NFLに挑戦して失敗したトミー・マドックスは、アリーナリーグやXFL(1シーズン)でプレイは続けていたものの、保険のセールスマンをしていました。XFLでスターティングQBをしていたマドックスは、そのプレイが評価され、QBコーデル・スチュワートの控えクォーターバック(3番手)として、2001年にスティーラーズとNFL最低年棒で契約しました。
 2001シーズン終了後、スティーラーズはデトロイト・ライオンズからフリーエージェントになっていたQBチャーリー・バッチと平均1,000,000ドルの年棒で契約し、マドックスには契約金50万ドル、契約期間は2006シーズンまで、年棒は平均931,250ドルという条件を提示しました。2001シーズン前の5シーズン、どのNFLチームとも3番手QBとしてでさえ契約することができなかったマドックスは、たとえ、その年棒が2006シーズンまで一定であるとしても、躊躇することなく契約をしました。
 この契約がマドックスを縛っています。しかし、ほとんどのNFL契約がそうであるように、この契約がチームを縛ることはありません。つまり、マドックスがスティーラーズのロースターに残ることができなかったとしたら、チームは彼との契約を破棄し、彼に対しては何の支払義務も生じません。
 昨シーズン開幕直後に2連敗したコーデル・スチュワートにかわり、マドックスが先発することになりました。チームを転々としていたマドックスの先発は、QBカート・ワーナーがセントルイス・ラムズの先発となった1年目の活躍に似ています。マドックスは、1996年にスティーラーズがスーパーボウルに出場する原動力となったQB ニール・オドネル以来、チーム最高のパッサーであることを証明しました。
 昨シーズン、11試合に先発したマドックスのパス成功率は62.1%。スティーラーズのオフェンス陣は1試合平均26.3得点を挙げ、1979年の1試合平均26.0得点というチーム記録を更新しました。
 2002シーズン終了後、スティーラーズは年棒6,300万ドルのコーデル・スチュワートを放出しました。スチュワートはシカゴ・ベアーズと契約し、スティーラーズはマドックスを2003シーズンのスターティング・クォーターバックとすることを発表しました。
 NFLのスターティングQB の平均年棒は538.7万ドルです。
 スティーラーズの2代目オーナー ダン・ルーニーは、今シーズン、スターティングQBのマドックスとは年棒65万ドル、ボーナス75,000ドルの合計72万5,000ドルで契約を結びました。一方、昨シーズン、一度もボールを投げることのなかった控えQBチャーリー・バッチとは年棒53万ドル、契約金47万ドルの合計100万ドルで合意しています。つまり、今シーズン、先発のマドックスが受け取る金額は控えのバッチより27万5,000ドルも少ないのです。
 ダン・ルーニーは、結果を残し、約束を果たしたQBにかなり高額な報酬を支払ってきたことに頭を悩ませていました。
 1996年にニール・オドネルを放出したあと、ダン・ルーニーは、シーズン開幕時にスターティングQBであれば高額のボーナスを支給するという条項つきの契約をジム・ミラーと結びました。しかし、ミラーは1試合に先発しただけでした。その1試合も後半にはヘッドコーチ ビル・カウアーに引っ込められ、次のシーズンにジャクソンビル・ジャガーズに放出されるまで、その後、1試合も先発することはありませんでした。
 コーデル・スチュワートは、スティーラーズ最優秀選手に選ばれ、プロボウルに出場した2001シーズン終了後に、契約金1,500万ドルを要求してきました。しかし、ルーニーはこれを承諾しませんでした。このことが、スチュワートに心理的影響を及ぼし、昨シーズンのような結果になってしまったのかもしれません。
 スチュワートの調子が悪いとみたカウアーは、すぐにスチュワートを引っ込め、マドックスをスターティングQBにしたのです。
 マドックスと代理人 ヴァン・マックエローは他のNFLチームのスターティングQBと比べても遜色ない契約を新たに結ぼうとしています。今の彼の立場であればそれは当然のことであり、彼はスティーラーズが昨シーズン終了後に交渉に応じると約束したと思っています。しかし、ルーニーは、マドックスとは2006年までの契約があるけれども、今シーズン終了後には交渉に応じると言っています。
 成績を残した選手にすぐにお金を払い、QBといい契約を結びたい新しい世代のオーナーとは異なり、ルーニーは生涯をNFLとともに過ごしてきました。すばらしい成績を残し、高額の契約を結んだあとには、成績を落としたり、けがをして使えなくなってしまった選手をたくさんみてきました。
 ルーニーはスターティングQBを孤立させてしまうリスクをとっています。彼の代理人がマドックスにどんな入れ知恵をしているのか誰にも分かりません。マドックスはトレードを要求するかもしれません。カウアーの集中力を乱し、あるいはロッカールームでチームの和を乱すことになるかもしれません。
 スティーラーズは、今シーズンもプレイオフに出場できる可能性があります。3人のレシーバー、ハインズ・ウォード、プラキシコ・ブレス、アントワン・ランドールエルはNFLでも屈指の選手です。もし、マドックスが自分の殻に閉じこもり、自分が評価されていない、十分な扱いを受けていないと感じれば、それは彼のプレイに影響を及ぼすことでしょう。
 ルーニーは、そうならないこと、また、特に大事な試合になると精神的な落ち着きを失っていたコーデル・スチュワートよりもマドックスの方がしっかりしていると信じています。ただ不安もあります。それは、20TDを決めている一方で、16INTも記録しているのです。これは、決していい数字ではありません。
 動きがそれほど俊敏ではないマドックスは、昨シーズン第11週のタイタンズ戦で脊髄をひどく痛めてしまいました。驚異的な回復力をみせましたが、シーズンをとおしてNFLのスターティングQBを続けられるのかどうかは疑問です。
 ダン・ルーニーは、高額の契約を結ぶ前に、もう少し彼のプレイをみてみたいと思っています。これは賢い選択だと思います。NFLから離れた生活、NFLと関係ない生活がどんなものであるのかをよく知っているマドックスだからこそ、スティーラーズをもう一度プレイオフに出場させ、さらにはスーパーボウルに出場させてくれるのではないかと、期待しているのでしょう。

SEE YOU NEXT TIME!
Bill Marklevits


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