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NFL Report Japan


このコーナーでは米国のNFL記者クラブ的存在であるPro Football Writers of Americaに日本人として唯一所属するジャパンタイムズ記者、生沢浩がNFLチームの存在する都市をいろいろな角度から紹介します。どうぞお楽しみに!!

第4回 《ニューオリンズ編》

 アメリカ人はよく“Take it easy.(気楽に行こう)”という言葉を使うが、英語の「easy」には「気楽、陽気」といったニュアンスが含まれている。その「easy」をそのまま街のニックネームとして持っているのが、ニューオリンズだ。

 アメリカ南部ルイジアナ州最大の都市、ニューオリンズは別名“Big Easy”と呼ばれる。アルトサックスが街中で奏でるジャズの調べと豊かな食文化、世界最大級の祭り「マルディグラ」など、この街は人を陽気にさせるもので溢れている。

 ニューオリンズは、アメリカ最長のミシシッピー川がメキシコ湾に注ぐ大きな河口から内陸に170キロほど入った位置にある。1718年に誕生したといわれるこの街は現在では人口50万人、ルイジアナ州の9人に一人が住む同州最大の都市に発展した。

 ニューオリンズという名前は開拓期にこの土地を領有していたフランスのオルレアン公からとったものだそうだ。南部訛りで話すアメリカ人の中には、この街を「ニューオルリンズ」と発音する人が少なくない。

 街が発展する源となったミシシッピー川はニューオリンズを代表する顔のひとつだ。赤茶色に濁った水がとうとうと流れる様は見ていて壮観。現在でも水上交通はこの街の重要な運送ルートのひとつだ。

 ニューオリンズはアメリカで海抜0メートル以下(マイナス1.5メートル)にある唯一の都市なのだそうだ。夏は非常に高温多湿で蒸し暑い。冬は空気が乾燥するし、気温も温暖になって過ごしやすい。

 さて、この街で忘れてならないのはフレンチクオーターだ。レストラン、バー、ホテルなどが一同に集まる最大の繁華街である。食事やライブを目的にいくのもいいが、ただブラブラと散歩するのもなかなか楽しい。あちらこちらにジャズのライブハウスがあり、カフェが建ち並ぶ。民芸品店には極彩色豊かな布製品やマルディグラで使う奇妙なデザインの仮面があって、不思議な雰囲気を演出している。夜の帳が降りる頃、どこからともなく聞こえてくるジャズを聞きながら、通りに張り出したカフェでカフェオレと飲んでベニエを食べる。これがニューオリンズ風だ。

 ニューオリンズは食文化の発達した街でもある。前述したベニエとは3センチ四方くらいの四角いドーナッツ。それに粉砂糖をまぶして食べる。地元では有名なカフェレストラン「カフェ・デュ・モンド」の看板商品だ。

 ガブリとかじったときに口の周りが粉だらけになり、そのたびに粉砂糖がこぼれるのには閉口するが、揚げたてのベニエは本当に美味しい。ドーナッツと粉砂糖のほのかな甘さが口の中に広がった瞬間に、カフェオレを飲むとなんとも言えない味わいがあるものだ。このカフェオレも日本の喫茶店のようにマグカップなどというけちなものでは出てこない。ボウルになみなみと入ってきたカフェオレを両手で包みながら飲むのがいい。ニューオリンズを訪れたらぜひともご賞味を、と言いたいが、今は東京池袋に「カフェ・デュ・モンド」が支店を出している。近場で間に合わせたい人はこちらへどうぞ。

 ケイジャンとクレオールもニューオリンズで有名な料理。かつてケイジャンは労働階級、クレオールは上流階級の食べ物だったが、今はその区別はほとんどない。ともにハーブとスパイスをふんだんに使って香りの強い味付けをする。どちらかというとケイジャンのほうがスパイスは強い。

 日本人の口に合うのがガンボスープ。いわばニューオリンズ風雑炊だ。シーフードやソーセージをハーブやスパイスを使った濃い目のスープで煮込み、そこに米を入れたものがガンボ。米を煮込んだタイプとカレーライスのようにかけるタイプがあるようだ。他にもルイジアナ風パエリアのジャンバラヤ、クローフィッシュ(ザリガニ)なども有名。

 ドリンクではピンク色がきれいなハリケーンというカクテルが人気。トロピカルフルーツをラムベースでカクテルにしたもの。美味しいが、甘くて口あたりがいいので飲みすぎには要注意だ。

 マルディグラは巨大な仮装パーティだと説明するのが最もわかりやすいのだが、敬虔なクリスチャンに言わせるとその説明は不謹慎極まりないのだとか。キリスト教ではイースター前に行う断食や節食の前に、肉を思う存分食べておこうという宗教色の強いカーニバルなのだそうだ。

 マルディグラは300年を超える歴史を持つ。2月上旬から中旬にかけて11日間行われる。派手な衣装や奇妙なマスクに身を包んだ人たちの行列が街中を闊歩する。そして、道端の人にビーズやコインをばら撒くのである。このコインをキャッチした人は幸運を掴むといわれている。

 さて、ニューオリンズといえばスーパーボウル開催地としても知られる。これまで9回の開催はマイアミの8回を抑えて最多である。通常はスーパーボウルが終了してすぐにマルディグラの期間となるため、スーパーボウルが開催される年のニューオリンズの1、2月は大きな盛り上がりを見せる。

 ただし、スポーツの街としては少しさびしい。北米4大スポーツの中でニューオリンズをフランチャイズとするのはNFLのセインツだけだ。ニューオリンズは全米のマーケットでもそれほど大きな部類に入らないため、スポーツがビジネスになりにくいのかもしれない。

◎スタジアムの歴史
ルイジアナスーパードーム
 ニューオリンズ市にNFLのチームが招致されることが決定したのは1966年。翌67年からNFL16番目のチームとしてリーグに参戦した。しかし、専用スタジアムの建設は66年に承認されたにもかかわらず大幅にスケジュールが遅れる。その間、セインツはテューレーン大学のスタジアムを間借りすることになる。スーパードームが完成したのは75年。ところが、最初のレギュラーシーズンゲームでセインツはベンガルズに0-21と完封負けを喫してしまう。その年のセインツは2勝12敗で、シーズン途中にヘッドコーチが解任されるという憂き目を見ている。87年シーズンにチームは史上初の勝ち越し(12勝3敗)でプレーオフに進出、スーパードームにヴァイキングズを迎えた。これがスーパードームで行われたセインツの最初のプレーオフゲーム。しかし、セインツはポストシーズンで勝てない時期が続き、初勝利をあげたのは2000年シーズンのワイルドカード(対ラムズ戦)だった。スーパーボウルは過去6度スーパードームで開催されている。また、76年にはこのスタジアムでプロボウルが行われた。

生沢浩(いけざわひろし)
ジャパンタイムズ運動部主任。1965年北海道生まれ。高校生のときに偶然テレビで見たボー・ジャクソンのランに魅せられてフットボールの虜となる。上智大学でRBとしてプレイ。米国のNFL記者クラブ的存在であるPro Football Writers of Americaに日本人として唯一所属。現在は『アメリカンフットボールマガジン』、『Sports Yeah!!』などの雑誌にNFLの記事を寄稿する傍ら、「NHK-BS」や「G+」でゲーム解説を務める。訳書に『NFLに学べ フットボール強化書』(ベースボールマガジン社刊)がある。

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第20回 《デトロイト編》
第19回 《クリーヴランド編》
第18回 《アトランタ編》
第17回 《セントルイス編》
第16回 《フィラデルフィア編》
第15回 《ニューイングランド編》
第14回 《ヒューストン編》
第13回 《ボルティモア編》
第12回 《シアトル編》
第11回 《ワシントンDC編》
第10回 《マイアミ編》
第9回 《シカゴ編》
第8回 《サンフランシスコ編》
第7回 《ピッツバーグ編》
第6回 《インディアナポリス編》
第5回 《タンパベイ編》
第4回 《ニューオリンズ編》
第3回 《サンディエゴ編》
第2回 《デンヴァー編》
第1回 《ニューヨーク編》

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