Thu, 08/28/2003 11:24 am UPDATE
2004シーズン NFLとは NFLヨーロッパ NFLイベント NFLフラッグフットボール サイトマップ
NFLビギナー NFLマニア NFLエンタメ コミュニティレポート NFL JAPAN チアリーダー
   NFL JAPAN top page>NFLマニア>フランチャイズ物語
NFLマニア
シーズン関連トピックス
チーム関連トピックス
今週のプレイヤー、コーチトピックス
フランチャイズ物語
NFL戦略アナライシス
ビジネストピックス
コラム
NFL Report Japan


このコーナーでは米国のNFL記者クラブ的存在であるPro Football Writers of Americaに日本人として唯一所属するジャパンタイムズ記者、生沢浩がNFLチームの存在する都市をいろいろな角度から紹介します。どうぞお楽しみに!!

第5回 《タンパベイ編》

 松井秀喜選手が在籍するNYヤンキースが春季キャンプを行う場所として、日本でもすっかりお馴染みとなったフロリダ州タンパ。バッカニアーズのスーパーボウル優勝で2002年シーズンのタイトルタウンとなった都市である。

 NFLファンには「タンパベイ」の名で知られるが、実はそういう名前の街は存在しない。北米大陸の南東に突き出すような形で位置するフロリダ州の西側にメキシコ湾が広がる。そのメキシコ湾が内陸に入り組んだ形になっている場所がタンパ湾、すなわちタンパベイである。

 NFLチームのフランチャイズは都市名(マイアミ、サンフランシスコなど)もしくは州の名前(ミネソタ、テネシーなど)で呼ばれるのが通例。バッカニアーズのように地域名をフランチャイズとして使用するのはニューイングランド、キャロライナなどごく少数だ。

 ちなみにタンパに本拠地を置くMLBデヴィルレイズ、NHLライトニングもやはりタンパベイと名乗っているが、これはバッカニアーズの例に倣ったものである。

 タンパにおけるメジャースポーツの歴史は浅い。上記の3チームのうち最も古いのがバッカニアーズだが、それでもチームがリーグ戦に参加したのは1976年だ。

 ご承知の通り、第37回スーパーボウルで初出場で初優勝を飾ったわけだが、バッカニアーズの低迷は長く続いた。76年は全敗で翌年も第13週にようやく勝利。チーム初勝利まで実に26連敗を喫したのである。これは今でも破られていないNFLの最長連敗記録である。

 次に誕生したのはライトニング。1992−93年シーズンから参戦。現在はイースタンカンファレンスのサウスイーストディビジョンに所属している。ライトニングも初期のバッカニアーズと同じようにディビジョンの最下位がほぼ定位置という低迷期を長く経験している。ただ、2003年3月現在ではワシントン・キャピタルズと地区優勝を争うなど、チーム創設以来で最大の好調振りを発揮している。

 最も新しいのがデヴィルレイズだ。98年からアメリカンリーグイーストディビジョンに参戦しているが、これまでで2000年の69勝93敗(.429)というのが最高勝率(2002年シーズン終了現在)。こちらも苦戦が続いている。どうもタンパという街では、スポーツチームはバッカニアーズやライトニングのように大器晩成型になってしまうようだ。

 ところでバッカニアーズとは海賊(パイレーツ)のなかでもカリブ海を中心として活動していたものたちのこと。実際、19世紀半ばまではこのタンパ湾には海賊が出没していたそうだ。現在では海賊戦が商業船にかわり、全米でも有数の港湾都市となった。

 タンパの街には海賊にちなんだ民芸品や行事が多いが、そのなかでも最も大掛かりなのは「ガスパレラ」と呼ばれる祭りだ。ガスパレラとは毎年2月に行われる仮装パレード。ニューオリンズのマルディグラの衣装を海賊にしたものといえばわかりやすいだろうか。

 ガスパレラでは、海賊に扮した参加者が大砲や銃を派手に鳴らしながら大きな帆船でタンパ湾に乗りつける。船が接岸すると船上のにわか海賊たちはイミテーションの宝石や金貨・銀貨を陸の見物客にむけて投げる。そして、いよいよ上陸だ。これが海賊の侵略を模していることは言うまでもない。その後海賊たちは街中をゆっくりとパレードするのである。

 ガスパレラは1904年に始まり、ほぼ1世紀の歴史を持つ。18世紀にスペインから移住してきた海賊ホセ・ガスパーをたたえるものだ。海軍上がりのガスパーはメキシコ湾を中心に暴れまわり、最強を誇った。引退する直前に金銀財宝をタンパのどこかに埋めたと伝えられるが、現在までそれは見つかっていない。

 タンパはどちらかというと商業都市で観光地ではないから、日本のガイドブックなどでもあまり取り上げられない。数少ない観光スポットをあげるなら、アフリカのサバンナを再現したブッシュガーデン、巨大なフロリダ水族館、葉巻で有名なイーボシティだ。イーボシティはかつて世界でも有数の葉巻生産地として知られ、最盛期には年間7億本もの葉巻を全世界に送り出していた。いまではタンパで最も大きな繁華街だ。

 フロリダの都市らしく夏は湿度が高く気温も上がる。冬は温暖で過ごしやすい。マイアミからは飛行機で約1時間。ディズニーワールドやユニバーサルスタジオのあるオーラードーからは車で約3時間の距離だ。

◎スタジアムの歴史
レイモンドジェームズ・スタジアム
 フーリハンズスタジアム(旧タンパスタジアム)に代わる新球場として98年に誕生したフットボール専用スタジアム。当時のアメリカスポーツ界は新スタジアムの設立ラッシュで、様々な工夫を凝らしたスタジアムが多く誕生した。レイモンドジェームズ・スタジアムの例外ではなく、球場そのものがファンを魅了する施設が設けられている。北側のスタンド上にある海賊船がそれだ。バッカニアーズが得点すると、海賊船の大砲が鳴らされる。また、エンドゾーン後方の座席を少なくし、広い共有スペースを確保したのも当時としては斬新なデザインだった。このスペースには固定の椅子は置かれておらず、観客たちは移動式の丸テーブルに腰掛けてバーベキューでもする感覚で試合を観戦できる。
 この球場の天然芝は質がよく、NFL選手会が1年おきに実施する現役選手へのアンケートでも、レイモンドジェームズ・スタジアムはプレーしやすいスタジアムの上位に挙げられている。

生沢浩(いけざわひろし)
ジャパンタイムズ運動部主任。1965年北海道生まれ。高校生のときに偶然テレビで見たボー・ジャクソンのランに魅せられてフットボールの虜となる。上智大学でRBとしてプレイ。米国のNFL記者クラブ的存在であるPro Football Writers of Americaに日本人として唯一所属。現在は『アメリカンフットボールマガジン』、『Sports Yeah!!』などの雑誌にNFLの記事を寄稿する傍ら、「NHK-BS」や「G+」でゲーム解説を務める。訳書に『NFLに学べ フットボール強化書』(ベースボールマガジン社刊)がある。

back number
第20回 《デトロイト編》
第19回 《クリーヴランド編》
第18回 《アトランタ編》
第17回 《セントルイス編》
第16回 《フィラデルフィア編》
第15回 《ニューイングランド編》
第14回 《ヒューストン編》
第13回 《ボルティモア編》
第12回 《シアトル編》
第11回 《ワシントンDC編》
第10回 《マイアミ編》
第9回 《シカゴ編》
第8回 《サンフランシスコ編》
第7回 《ピッツバーグ編》
第6回 《インディアナポリス編》
第5回 《タンパベイ編》
第4回 《ニューオリンズ編》
第3回 《サンディエゴ編》
第2回 《デンヴァー編》
第1回 《ニューヨーク編》

→戻る