第6回 《インディアナポリス編》
北アメリカ中西部、五大湖の南に位置するインディアナ州。その州都がインディアナポリスだ。いくつものインターステートが交差する中西部陸路の要衝でもある。ルート65号を北上すれば4時間でシカゴに到着し、70号を西南に下ればセントルイスにつながる。シンシナティへは74号で約2時間の距離だ。
インディアナポリスは19世紀始めまでアメリカ先住民が林業を営みながら生活する小都市だった。1820年にインディアナ州の州都に指定され、20世紀に入ってから工業を中心とした都市改造計画が施された。現在は人口80万人の工業都市だ。
北アメリカの中西部はシカゴを除き、私たち日本人にはそれほど馴染み深い地方ではないかもしれない。それでもNFLファンにはコルツとスカウトコンバインの街、モーターファンにはインディ500レースの開催地として知られている。
NFLでは4月の大学ドラフトに先立って2月中旬にスカウトコンバインが行われるが、それが開催されるのがインディアナポリスだ。スカウトコンバインとはドラフト候補生がコルツの本拠地RCAドームで、各チームのスカウト陣やヘッドコーチ、GMが見守る中で40ヤード走などの体力測定を行うものだ。フィジカルなテストのほか、隣接しているコンベンションセンターでチーム首脳陣と候補生との面談も行われる。
アメリカで最大の人気を誇るモーターレースといえば、インディ500。ヨーロッパを主戦場とするF−1はむしろアメリカ人の興味を惹かない。彼らはインディ500やナスカーレースなど自国発祥のカーレースをこよなく愛する。これもアメリカ人気質か。
インディ500とは毎年5月のメモリアルデー(戦没者記念日)に行われるインディカーシリーズ最大のレースである。1911年に始まったこのレースは年々その規模を拡大していき、今ではスーパーボウルやワールドシリーズと並び称される北米でも最大級のスポーツイベントとなった。チケットは1年前からの予約が必要といわれるが、事実上入手が困難なプラチナチケットとなっている。レースの決勝戦に向けての関連イベントは4週間以上にもわたることからも、その規模が窺い知れる。
インディカーレースは1周2.5マイルの楕円形のオーバルコースを左回りに周回することによって競われる。複雑に設計されたコースを縦横に走るF−1とはレーススタイルが根本的に違う。
インディ500が開催される「インディアナポリスモータースピードウェイ」は市郊外にあるが、それに隣接して設立されているインディカーの殿堂博物館は人気観光スポットのひとつだ。博物館には歴代優勝者の肖像やヘルメットはもちろん、これまでにインディ500で実際に走行したレーシングカー75台が所狭しと並んでいる。レースファンならでも夢中になれるスポットだ。
博物館といえば、インディアナポリスには無料で入館できる博物館、美術館がいくつかある。たとえばインディアナ州の自然史と文化史を紹介するインディアナ州立博物館(Indiana
State Museum)は、地下1階から地上3階まで全部見て回るのに2〜3時間はかかるであろう規模を持ちながら、入館は無料だ。そのほか、アメリカ先住民の文化・伝統の品々を展示しているアイテルジョーグ・ミュージアム(EiteljorgMuseum
of American Indians and Western Art)も無料。
インディアナポリスは小規模な街なので、ダウタウンは半日もあれば回りきれてしまう。ダウンタウンの中央部には高さ87mのインディアナ兵士・水兵士記念塔(Indiana
Soldiers' and Sailors' Monument)があり、これに上れば市街が一望できる。
モータータウンだからというわけではないのだろうが、インディアナポリスはスポーツチームがそれほど多くない。北米4大スポーツではNFLのコルツ、NBAのインディアナ・ペイサーズがあるのみだ(WNBAではフィーヴァーが存在する)。
コルツは46年に設立され、50〜60年代は旧NFLの強豪チームとして人気を博した。第3回スーパーボウルではジョー・ネイマス率いるジェッツに苦杯を舐めたが、その2シーズン後にカウボーイズを破ってスーパーボウルチャンピオンとなっている。83年シーズンを最後にメリーランド州ボルティモアからインディアナポリスに移転した。
ペイサーズは67年にアメリカンバスケットボール協会(ABA)の一員として誕生した。ABAではプレーオフの常連で、69-70年、71-72年、72-73年シーズンでそれぞれリーグ優勝を果たした。ABAが消滅した後、76年からNBAに所属している。本拠地のカンセコフィールドハウス(Conseco
Fieldhouse)は99年秋にオープンしたばかり。 |