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NFL Report Japan


このコーナーでは米国のNFL記者クラブ的存在であるPro Football Writers of Americaに日本人として唯一所属するジャパンタイムズ記者、生沢浩がNFLチームの存在する都市をいろいろな角度から紹介します。どうぞお楽しみに!!

第12回 《シアトル編》

 イチローとブルース・リーとカフェに浮き橋。これらの言葉から連想されるアメリカの街は? そう、西海岸きっての水郷都市シアトルである。
 イチロー、長谷川滋利、佐々木主浩の所属するMLBマリナーズと、スターバックスやタリーズなどのカフェチェーン(カフェラテはこの街の発祥だとか)ですっかり馴染みの深くなったシアトルは、観光地としても日本人に大人気の街だ。遠くにカスケード山脈とオリンピック山脈の稜線を望み、エリオット湾とワシントン湖が水路を織り成す大自然と水の都市。日本のように四季のはっきりした気候は美しい街並を季節ごとに鮮やかに彩る。
 古くから日本人が多く移民した場所でもあり、その名残が日本文化として根付いている。四季、豊かなシーフード、海と山の自然はどこか日本を思わせるところがあるのかもしれない。
 シアトルは人口56万人の都市で、面積は約218平方キロメートル。東京都の約十分の一ほどの広さしかない。そのうち31平方キロメートルが湖の面積だから、いかに水がこの街の大きな要素になっているかがうかがえる。水といえば雨が多いのも特徴だ。ただし、日本とは違って夏季には雨が少なく、冬に多雨となる。気候も緯度が高い(北海道よりも上に位置する)割には海流の影響で温暖だ。夏でも最高で25度前後、真冬でも零下になることはほとんどない。
 水郷都市だけあって、街の見所も水に因んだものが多い。最大のマーケットプレース、「パイク・プレースマーケット(Pike Place Market)」は漁師が採れたての魚介類を売りさばいたことから始まった。有名なのは、商談が決まった後にカニや鮭などの魚介類をカウンターに投げ入れるパイク・プレースフィッシュ(Pike Place Fish)だ。築地の競りよろしく威勢のよい掛け声が飛び交う。パイク・プレースの近くにはシアトル水族館がある。
 ワシントン湖の「浮き橋(Floating Bridge)」もシアトル名物のひとつだ。橋が湖面に接しており、まさに湖に浮いた橋のようだ。橋上を走るとさながらに湖面を滑走しているかのようだ。
 シアトルの歴史を感じたければパイオニアスクエア(Pioneer Square)とアンダーグラウンド(Underground)だ。パイオニアスクエアはシアトル発祥の場所で、現在も19世紀初頭の建物がそのまま残る。アンダーグラウンドとは読んで字のごとく地下のこと。シアトルは海抜の関係で、かつては街道が海よりも低い位置にある場所が多かった。そのため、多量の雨で道路が冠水したり、下水道の汚水が逆流したりすることが頻繁に起こった。19世紀終わり頃にシアトルは大火に見舞われ、その復興を機に街全体が大改造されたが、その際に街路を高くする工事も行われた。その結果、古くからある道路はまるで地下道のようになってしまったのである。現在はその「地下道」に蓋がされているので、実際に使われることはない。ただ、アンダーグラウンド見学ツアーで観ることができるくらいだ。
 シアトルのスポーツで私たちに最も馴染みが深いものといえば、なんといってもマリナーズだ。マリナーズは1976年に誕生した。1999年から現在のセーフコフィールドをホームとしており、2001年にはアメリカンリーグ記録となる116勝をマークした。この年はリーグチャンピオンシップでヤンキースに敗れたが、ここ数年は毎年地区優勝を争う強豪チームだ。
 MLBスーパーソソニックス1967-68年シーズンからNBAに参戦した。70年代後半に最初の黄金期を迎え、78-79年シーズンにリーグ優勝を果たした。最近では90年代後半に再び黄金時代を迎え、95-96年のNBAファイナルズに進出するが、マイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズに2勝4敗で敗れた。
 NFLのシーホークスは1976年にタンパベイ・バッカニアーズとともにエクスパンションチームとして誕生した。最初の1シーズンはNFCウェストに所属したが、翌年からAFCウェストに編入された。2002年のリーグ再編成にともない、再びNFCウェスト所属となったことは周知のとおり。
 さて、冒頭のブルース・リーだが、実はシアトルとの関係が意外に深い。32年という短い生涯の晩年こそ香港を活動拠点としたリーだが、若い頃にはシアトルに住んでいたことが知られている。武道家としての修行を積んだのもこの街だといわれる。そして、シアトルのレイクビューとよばれる墓地にはリーの墓がある。

◎スタジアムの歴史
シーホークス・スタジアム
 2002年にかつてのホームスタジアム、キングドームの跡地に完成した67000人収容のスタジアム。開催イベントによってはさらに5000人分の席を臨時に増設することができる。北にはカスケード山脈の山々が見える。雨の多い気候を意識して、スタンドの7割が屋根に覆われている。新スタジアムが次々と生まれるNFLでも、ここほど最新のテクノロジーを集めた施設は少ないと言われる。フィールドは人工芝(フィールドターフ)だが、2003年春に行われたサッカーの試合では天然芝を植えた実績もある。

生沢浩(いけざわひろし)
ジャパンタイムズ運動部主任。1965年北海道生まれ。高校生のときに偶然テレビで見たボー・ジャクソンのランに魅せられてフットボールの虜となる。上智大学でRBとしてプレイ。米国のNFL記者クラブ的存在であるPro Football Writers of Americaに日本人として唯一所属。現在は『アメリカンフットボールマガジン』、『Sports Yeah!!』などの雑誌にNFLの記事を寄稿する傍ら、「NHK-BS」や「G+」でゲーム解説を務める。訳書に『NFLに学べ フットボール強化書』(ベースボールマガジン社刊)がある。

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第14回 《ヒューストン編》
第13回 《ボルティモア編》
第12回 《シアトル編》
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第6回 《インディアナポリス編》
第5回 《タンパベイ編》
第4回 《ニューオリンズ編》
第3回 《サンディエゴ編》
第2回 《デンヴァー編》
第1回 《ニューヨーク編》

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