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日本人磯有理子さんがNFL初の女性トレーナーに
 
 ACLを断裂してNFLでのキャリアを終えてしまう選手は多い。しかし、磯有理子さん(31)はACL断裂のためにNFLでのキャリアを始めることになった最初の人かもしれない。

 磯さんは東京でバスケットボールの選手として活躍していた。しかし、膝の故障で彼女の選手生命は絶たれてしまう。そこで彼女はスポーツ医学の道を志すようになったのだ。

 ふたつの大学での学位を習得し、その後9年間のアスレチックトレーニングを経て、磯さんは誰もがあこがれながら、とくに女性には実現の難しかった道へ自分をステップアップさせて行った。

 NFLが設立されてから82年目にしてピッツバーグ・スティーラーズが磯さんをフルタイムの女性トレーナーとして採用したのである。

 身長163センチの磯さんの体はお世辞にも大きいとは言えない。しかし、多くの女性トレーナーにとってはその存在は大きなものとなった。なぜなら、高校や大学で、選手の足首や膝にテーピングを施し、リハビリのプログラムを考える女性トレーナーは何千人といるかもしれないが、トップクラスのプロリーグで活躍する女性トレーナーは本の一握りにも満たないからだ。

 磯さんは全く疲れを知らないかのようにビニール袋入りの氷やウォータークーラーを持っては選手のこなすドリルからドリルへと走りまわっている。

 「オドオドしたりすることはないですね」と磯さんは1日15時間にも及ぶ練習のほんのわずかなブレイク中に答えた。「ここでは全ての環境が全く違うから、慣れるのが大変なんです。思ったほどナーバスにはなっていないです。でも、プレッシャーは感じます。初めての女性プロトレーナーになるなんて考えたこともなかった。でも、多くの人達がこれを目標にしているのだということは今では理解しています。だから、そういう人たちの夢を壊してはいけないというプレッシャーを感じるんです」。

 磯さんはスティーラーズのキャンプに昨年と一昨年にインターンとして参加している。だから、チームのジョン・ノーウィグトレーナーがもうひとり自分のアシスタントトレーナーを雇う許可をもらったときに、磯さんが第一候補となったのだ。ノーウィグは磯さんに次のようなアドバイスを与えたという。「いいかい、足首というのはどれもいっしょなんだ。それが誰の足首であるかなんて関係ないんだよ」。

 「彼女は素晴らしい学歴を持ったアスレチックとレーナーだ。それに、人柄もいい」とノーウィグは言う。「選手たちともとてもうまくやっているようだ。この仕事には最適な人材だよ」。

 磯さんが現在マスコミ攻勢に追われているが、それが終われば「技術を持った女性トレーナー」としてではなく「技術を持ったトレーナー」として認められたいと願っている。

 「医者に診てもらうとき、それが男性か女性かなんて気にしませんよね」と磯さんは言う。彼女はオレゴン州立大で学士号を修得し、サンノゼ州立大学で修士を修了した。「私は一人のトレーナーとして雇われたのだと思っています。性別は問題じゃないんです」。

 ロッカールームの中で飛び交う汚い言葉や女性のポスターなども磯さんは気にしない。

 「私は尊敬の念を選手と持って接していますから。それに、そういうことに関して嫌な思いをしたこともありません。私がスポーツをしていた時は私自身も闘争心を持ってやっていた。感情をストレートに表に出したこともあります。みんなそうなんです。だから大丈夫ですよ」。
[2002年7月26日]

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