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今週のプレイヤー、コーチトピックス


『NFL初の黒人GM』ニューサムのリーグ最強守備再建計画
 
 現地11月25日月曜日、ボルティモア・レイヴァンズのフットボール担当副社長、オジー・ニューサムがジェネラルマネジャー(GM)兼上級副社長に昇格した。レイヴァンズの前身である旧クリーヴランド・ブラウンズでTEとして13シーズンプレイし、パスレシーブ662回7980ヤード、47TDの生涯記録は、シャノン・シャープ(現ブロンコス)に破られるまでTEとしてのリーグ記録。99年には殿堂入りを果たした往年の名プレイヤーだ。そして今、ニューサムはNFL初の黒人GMとして、リーグの歴史に新たな1ページを記した。

 2000年度のスーパーボウル優勝は確かに目立った功績だが、今季は第12週終了時点で5勝6敗と、お世辞にも好調と言えないチーム状態。その中で、選手人事の総責任者であるニューサムのGM昇格の背景にあったものは何だったのだろうか。

 00年度の全米制覇当時のレイヴァンズは、DTトニー・シラグーサ、FSロッド・ウッドソンといった経験豊富なベテランが、LBレイ・ルイスらリーグ屈指のタレントをまとめ上げ、NFL史上最強とさえ謳われた守備を擁していた。当時の守備メンバーは誰一人とってもきら星のごときスター選手。年俸は当然のように高騰し、フリーエージェント(FA)による戦力流出が相次いだ。オフェンス面でも、論議を呼んだQBトレント・ディルファー放出もあり、顔触れは過去2年で一変した(表参照)。

 「それでも、各ポジションにリーグトップ級の人材は残っている」とABC解説者のジョン・マッデンは評していたが、さらに悪いことに、LBルイス、DEマイケル・マクレアリー、CBクリス・マカリスターら残存戦力もケガのため戦線を離脱し、今季第12週の先発守備メンバーのうち、00年度スーパーボウルで先発していたのはLBピーター・ボールウェア唯一人という惨状だった。

 ニューサムは、シーズン前から長期的再建への覚悟を固めていた。今オフに退団したウッドソン、DTサム・アダムズらの穴は、今ドラフト1巡指名のエド・リード、アンソニー・ウィーヴァーら新人を抜擢した。勝敗を度外視し、今季は将来のための戦力を育てる年と位置づけていたのだ。

 迎えた第12週は、前週まで5連勝と好調のタイタンズが相手。主力にケガ人続出の現状に、奮起したのもまたルーキーだった。まず、試合開始早々のタイタンズのパントを新人ながら今季全試合に先発出場を続けるリードがブロックし、自らリカバーしてTD。試合の流れを一気に引き寄せた。

 直後のタイタンズの猛攻も、自陣4ヤードまで攻め込まれたところで新人LBバート・スコットがQBスティーヴ・マクネアのパスをインターセプトし、反撃の芽をつみ取った。第3Qにも新人Sチャド・ウィリアムズがインターセプト。マクネアは若いレイヴァンズ守備陣にこの日だけで3インターセプトを喫し、最後まで敵エンドゾーンを陥れることができなかった。

ウィリアムズは今ドラフト6巡指名のルーキー。リードとコンビを組む先発FSウィル・デンプスもドラフト外入団の新人で、3番手のウィリアムズを含め、レイヴァンズのセーフティ陣はリーグ史上例を見ないフレッシュな顔触れだ。

 スコットもデンプス同様ドラフト外入団新人。今季チーム1位のタックル数をマークしているLBエド・ハートウェルが膝の負傷で万全でないため、タイタンズ戦で初めて第3ダウンでのパスカバーの任を与えられた。その大役に、スコットは見事インターセプトで応えたのだ。

 デンプス、ウィリアムズ、スコットといったドラフト下位もしくはドラフト外入団の新人がここまでの活躍を見せていることこそ、戦力的な不利が否めないチームを勝率5割前後に踏みとどまらせている最大の要因である。そして、彼らの能力に目をつけ、レイヴァンズに引っ張ってきたのが他ならぬニューサムだったのだ。そうした慧眼ぶりを見れば、ニューサムの今回のGM昇格も頷ける。

 現在のレイヴァンズ守備陣で中心的な役割を果たしているルーキーたち。彼らが経験を積んだ2〜3年後、レイヴァンズのディフェンスは00年度に見せた鉄壁ぶりを取り戻すことだろう。
 
●ボルティモア・レイヴァンズ先発メンバー比較
 
2000年/第35回スーパーボウル 2002年/第12週(対タイタンズ戦)
オフェンス オフェンス
WR カドリー・イスマイル
コルツ(02年)
WR トラヴィス・テイラー
3年目
T
ジョナサン・オグデン 在籍 T
ジョナサン・オグデン 7年目
G エドウィン・ムリターロ 在籍 G エドウィン・ムリターロ 4年目
C ジェフ・ミッチェル パンサーズ(01年) C マイク・フリン 5年目
G マイク・フリン 在籍 G ベニー・アンダーソン 2年目
T ハリー・スウェイン 引退 T イーサン・ブルックス 7年目
TE シャノン・シャープ ブロンコス(02年) TE トッド・ヒープ 2年目
WR ブランドン・ストークリー 在籍(負傷欠場) WR ロン・ジョンソン 1年目(新人)
QB トレント・ディルファー シーホークス(01年) QB ジェフ・ブレイク 11年目
FB サム・ギャッシュ 在籍(控え) FB アラン・リカルド 2年目
RB プリースト・ホームズ チーフス(02年) RB ジャモール・ルイス 3年目
ディフェンス ディフェンス
DE ロブ・バーネット
ドルフィンズ(02年)
DE アンソニー・ウィーヴァー
1年目(新人)
DT サム・アダムズ レイダース(02年) NT ケリー・グレッグ 3年目
DT トニー・シラグーサ 引退(02年) DE アデイリアス・トーマス 3年目
DE マイケル・マクレアリー 在籍(負傷欠場) OLB コーネル・ブラウン 5年目
OLB ピーター・ボールウェア 在籍 ILB エド・ハートウェル 2年目
MLB レイ・ルイス 在籍(負傷欠場) ILB バーナード・ハリス 8年目
OLB ジェイミー・シャーパー テキサンズ(02年) OLB ピーター・ボールウェア 6年目
CB ドゥウェイン・スタークス カーディナルズ(02年) CB アルヴィン・ポーター 2年目
CB クリス・マカリスター 在籍(負傷欠場) CB ゲイリー・バクスター 2年目
SS キム・ヘアリング ラムズ(01年) SS エド・リード 1年目(新人)
FS ロッド・ウッドソン
レイダース(02年) FS ウィル・デンプス 1年目(新人)
 
●パッカーズ今季の主な負傷選手
 
【今季絶望】
RB
ネイジャー・ダヴェンポート
T マーク・タウシャー
T チャド・クリフトン
DE ジョー・ジョンソン
CB バウ・ジュー
 
【欠場試合数】
DE
ヴォニー・ホリデイ
6
S アントワン・エドワーズ 4
CB マイク・マッケンジー 3
DT クリーディアス・ハント 2
S ダレン・シャーパー 2
RB アーマン・グリーン 1
FB ウィリアム・ヘンダーソン 1
WR ジャヴォン・ウォーカー 1
DT ギルバート・ブラウン 1
[2002年11月28日]

主力の負傷続出に苦悩のパッカーズ
 
 新生NFC北部地区の首位を独走し、96年度以来のスーパーボウル進出へ、最有力候補と見られていたグリーンベイ・パッカーズが窮地に立たされている。

 今季のパッカーズは序盤戦からディフェンス陣を中心に負傷者が相次ぎ、苦戦の連続だった。それでも第3週から怒濤の7連勝を飾り、かつての切れ味を取り戻したベテランQBブレット・ファーヴのプレイに導かれ、死角はないと思われていた。しかし、第11週ヴァイキングス戦、第12週バッカニアーズ戦と敵地でまさかの2連敗。さらにファーヴを守る攻撃ラインの中核である左タックルのチャド・クリフトンが、バッカニアーズDTサップに激しくヒットされ、臀部を負傷し戦線離脱を余儀なくされることとなった。

 すでにパッカーズは、右タックルのマーク・タウシャーを第2週セインツ戦での膝靱帯断裂によって失っている。今回クリフトンまで失ったことで、シーズン開幕当初の勢いにやや翳りが見えつつあるファーヴのプレイにも少なからず影響がありそうだ。

 クリフトンがサップから受けたヒットは、第3QにファーヴのパスがバッカニアーズCBケリーにインターセプトされた場面で起こった。インターセプトなど、ターンノーバーが起きると、フィールド上の攻守が逆転する。オフェンスの選手は敵のボールキャリアーを追い、ディフェンス側はそれをブロックしようとする。クリフトンも、ボールを奪ったケリーを追いかけようとしていたが、攻撃ラインの選手が追いつけるわけもなく、ボールから遙か離れた位置にいるのを、まったく寝耳に水のヒットが襲ったかたちだ。

 このサップのヒットについて、リーグの裁定は「合法」というものだった。怒りのあまり試合後にサップに詰め寄ったパッカーズのヘッドコーチ、マイク・シャーマン。プレイオフに向け、急ピッチのチーム再建が必須の現状だ。
[2002年11月28日]

カート・ワーナー放出? の可能性
 
 新星QBマーク・バルジャーの活躍もあって、泥沼の開幕5連敗から5連勝し、第11週終了時点で勝率5割まで立ち直ってきた前年度NFC王者セントルイス・ラムズ。しかし、その第11週ベアーズ戦で、バルジャーが利き腕の人差し指を負傷。ケガの癒えた本来のエースQBカート・ワーナーが先発メンバーに復帰し、第12週レッドスキンズ戦に臨んだ。

 ワーナーはこの復帰戦でパス301ヤード、2TDを記録。しかし、第2Qにインターセプトを喫して追加点のチャンスを逃し、試合終了間際の最後のドライブでは、敵陣深くまで攻め込みながら、レッドスキンズLBアーリントンに痛恨のQBサックを喫したばかりか、ボールをファンブルして勝ち星を献上してしまった。

 昨季、自身2度目のリーグMVPに輝く活躍で、チームをスーパーボウル進出に導いたワーナーも、今季先発試合の成績は屈辱の0勝5敗。バルジャーの活躍が目覚ましかっただけに、地元では早くも「今オフにはワーナー放出か?」との噂も出始めている。

 この噂の根拠には、金銭的な問題もある。ワーナーの現契約では、来年2月にオプション(契約延長か解除かの選択)が設定されている。ワーナーをチームに残す場合、2月の時点で600万ドル(約7億2000万円)の再契約金を支払う必要があるのだ(ただし、来季に限れば、サラリーキャップ枠に加算される数字は放出した場合の方が増加してしまう)。一方のバルジャーはまだプロ2年目で、今オフも移籍の自由はない。リーグ最低年俸でチームに残留させることが可能なのだ。

 また、スターター級のQBを2人同時に抱えることは、チーム内不和につながる可能性もある。いずれにせよ近い将来、ラムズはQBのポジションで重大な決断を迫られることになりそうだ。
[2002年11月28日]

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