アリゾナ・カーディナルズのQBジェイク・プラマーとその本拠地サンデヴィル・スタジアムの歴史は、10年に及ぶ。93年、アイダホ州ボイジのキャピタル高校を卒業して間もなく、1年生の年からアリゾナ州立大学サンデヴィルズの先発QBの座を掴み、以来プロ6年目の今季まで、常にこのスタジアムをホームとして、プラマーはプレイしつづけてきた。
その歴史は、節目を迎えた今シーズンを最後に、終焉を迎えるのかもしれない。カーディナルズとプラマーの契約は、今季終了後に満了となる。つまり、フリーエージェントとなるこのオフには、他チームへの移籍の可能性が濃厚なのだ。
アリゾナ州立大時代のプラマーは、まさに「英雄」だった。4年生時の96年には前年度大学界王者のネブラスカ大をサンデヴィル・スタジアムに迎え、19−0のシャットアウト勝ちで全米の話題をかっさらう。この年、同大学はレギュラーシーズンを全勝で終え、プラマーはチームを新年のローズボウルに導いた。
「ジョー・モンタナの再来」、元49ersの名将ビル・ウォルシュはプラマーをこう評した。97年のドラフトでは、古巣49ersにプラマーの指名を勧めた(結局49ersはヴァージニア工科大のジム・ドラッケンミラーを指名)。結局プラマーは、アリゾナ州立大のホーム・スタジアムを「間借り」しているカーディナルズにドラフト2巡で指名を受け、地元のファンをさらに喜ばせる。
プロ1年目の97年、開幕こそ控えQBとして迎えたプラマーだったが、10月19日のフィラデルフィア・イーグルス戦、途中出場で慣れ親しんだサンデヴィル・スタジアムのフィールドに舞い戻る。そしてNFLでの最初の攻撃シリーズで98ヤードのTDドライブ(この年のリーグ最長記録)を演出、地元の英雄のプロデビューに、ファンは熱狂した。
最終的に、プロ1年目は9試合に先発出場。初めてスターターとして開幕を迎えた翌98年、プラマーの選手生活は早くも絶頂を迎える。3点差以内の接戦で8試合中7勝をあげる驚異的な勝負強さで、チームを82年以来のプレイオフ進出に導いたばかりか、プレイオフ1回戦でダラス・カウボーイズを20−7で下す大番狂わせを演じ、実に51年ぶりのプレイオフ勝利をあげた。
このシーズン終了後、カーディナルズはチームを躍進に導いた「英雄」に総額3000万ドル(約36億円)という破格の4年契約を与える。1500万ドル(約18億円)の契約金は、当時のリーグ史上最高額だった。さらなる躍進を目指すカーディナルズに、この世の春を謳歌するプラマー。すべてがうまく回っていたはずだった。しかし、この契約を転機に、チームとプラマーの転落が始まることになる。
新契約初年度の99年、プラマーはリーグ最多の24インターセプトを喫し、対してあげたTDはわずか9個。翌2000年も13のTDに21インターセプトと乱調ぶりは収まらず、チーム成績も2シーズンで9勝23敗と沈んだ。昨季は98年以来のパス3000ヤードを突破、プロ入り後初めてTD数(18)がインターセプト数(14)を上回り、チームも7勝9敗と再浮上の気配を見せたものの、今季は再び一昨年までの不安定なプレイに逆戻りしてしまった。
第16週、今季ホーム最終戦の49ers戦の戦前には、「移籍のことなんて考えたこともない」と気丈に振る舞ったプラマー。しかし、パス獲得距離わずか109ヤードに抑え込まれ、チームも今季10敗目を喫してしまった。
カーディナルズは今ドラフト3巡指名の新人ジョシュ・マッカウンを将来のエースQBとして育成していく意向を覗かせている。来季プラマーはどのチームのユニフォームを着ることになるのだろうか。 |