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今週のプレイヤー、コーチトピックス


2003年オフシーズン、攻撃タックル玉突き現象
 
セインツからラムズに移籍したOTカイル・ターリー
 今オフシーズン、各チームが戦力補強に精力を傾ける中で、選手の玉突き現象が起きた。発端は、ニューオリンズ・セインツが新たな左攻撃タックルのスターターとして前スティーラーズのウェイン・ガンディを総額2600万ドル(約31億2000万円)の6年契約で引き抜いたことだった。
 攻撃ラインのポジションは、そもそもセインツの今オフシーズンの補強課題ではなかった。昨年オフに、新人時以来9シーズンにわたり左タックルのポジションを守り通してきた看板選手ウィリー・ローフをチーフスへトレード、代わって、右タックルのスターターだったカイル・ターリーが左サイドに移り、ドルフィンズから移籍のスペンサー・フォーラウが右サイドのポジションを任された。新人Gルチャールズ・ベントリーの若さに似合わぬ安定したプレイぶりとも相まって、リーグ3位の1試合平均27点を獲得する得点力を発揮したのだ。
 しかし、今オフシーズンに、攻撃ラインの中核選手であるターリーをセインツが放出するだろう、というのはかねてより噂となっていた。頭に血が上りやすく、2001年シーズンには相手チームの選手のヘルメットを奪い取って放り投げるという暴挙に至ったこともあるターリーに、ヘッドコーチのジム・ハズレットの堪忍袋の緒は切れてしまっていたのだ。
 そうした中でのガンディ獲得。スティーラーズで過去4シーズン、左タックルのスターターとして強力ラン攻撃を支えたガンディだったが、ターリーを本来の右サイドへ戻すことで、まだ共存の可能性もないわけではなかった。しかし、セインツがターリーのトレード先を探していることは今オフシーズンの噂の種となっており、放出は時間の問題と見られていた。
 そして、ターリー獲得に手を挙げたのが、攻撃ライン再編がオフの最重要課題となっているラムズだった。昨季のラムズは右タックルのポジションのスターターに抜擢された若手のジョン・セントクレアが期待を裏切り、パス・プロテクションが大幅に悪化。大黒柱のカート・ワーナーを筆頭に、ジェイミー・マーティン、マーク・バルジャーと三番手までのQBが皆ケガに見舞われるという惨状に陥った。加えて今オフにはリーグを代表するラインマンである左タックル、オーランド・ペイスを筆頭に、攻撃ライン陣だけで8人もの選手がフリーエージェント(FA)権を得、戦力の大幅入れ替えが必至の状況だった。
 その予測通り、トレードでレッドスキンズからGデイヴィッド・ラヴァーンを獲得、さらにFA市場では前ブラウンズのCデイヴ・ウォーラボーを引き抜いた。そして、3人目の新戦力として、2004年のドラフト2巡指名権と交換に、ターリーを獲得したのである。
 性格面で問題があるとは言え、ターリーのアグレッシブなプレイはリーグでも屈指との評価を得ており、本来の右サイドに戻り、ペイスとともにNFL随一のタックル・コンビ形成へファンの期待も高まるところ。しかし、話はそう簡単には収まらない。ペイスも、先に触れた8人のFA攻撃ラインの一人なのだ。
 しかし、ラムズにとってはペイスは絶対に慰留したい人材。そこで『フランチャイズ選手』指名を行い、その移籍に制限を加えた。ペイスがFA移籍となった場合、移籍先の球団はラムズにドラフト1巡指名権2つを譲渡しなければならず、移籍は事実上不可能となっている。その境遇に不満を覚えたペイスが、「金を払う気がないのなら、トレードに出してくれ」と訴え始めたから大変だ。
 その現状の中で、ターリーをトレードで獲得し、2650万ドル(約31億8000万円)という、ガンディ以上の好条件で契約を更新したラムズ。もしペイスを慰留することができなければ、ターリーは新チームでも左サイドに留まってプレイすることになることかもしれない。新戦力獲得がそれまでの主力選手を押し出す玉突き現状は、今後も続いていくのだろうか、目が離せない。
[2003年3月26日]

難しい選択を迫られているパッカーズ
 
パッカーズとイーグルスが争奪戦を繰り広げる、”KGB”ことDEカビア・バージャ=ビアミラ
 昨季のディフェンスのスターター11人のうち8人、守備ラインとLBを併せた『フロント7』陣はスターター全員がFA権を得るという厳しいオフシーズンを迎えているグリーンベイ・パッカーズ。全員を慰留することは早々に諦め、守備ラインでは、プロ経験4年の若手DTクリーディアス・ハントを移籍に制限を加える『トランジション選手』指名したのち、2535万ドル(約30億4200万円)の6年契約を結ぶ「一点集中」戦略を採った。
 残る守備ラインのメンバーでは、ベテランの巨漢DTギルバート・ブラウンはベテラン最低年俸での残留が見込まれているが、守備のリーダー格であるDEヴォニー・ホリデイはカーディナルズ、シーホークスと交渉を重ね、移籍先を探っている段階だ。また、プロ経験3年、制限付きのFA選手である快足パスラッシャーのカビア・バージャ=ビアミラはパッカーズとイーグルスとの間で激しい争奪戦が行われている。昨オフにセインツから獲得したベテランDEジョー・ジョンソンの完全復帰を見込むとして、ホリデイは失っても若い『KGB』(バージャ=ビアミラの愛称)は何としても引き留めたいだろう。
 LB陣は、さらに大幅な改造が行われている。まず、プロ16年目のシーズンを終えたミドルLBのハーディ・ニッカーソンには見切りをつけ、代役として前パンサーズの5年目ハニヴォール・ネイヴィーズとFA契約を結んだ。爆発的な身体能力が魅力ながら、プロ入り以降ケガに泣かされ続けてきた選手。本来のミドルのポジションでの先発の機会に、汚名払拭を期している。
 アウトサイドも総入れ替え。サラリーキャップ対策で、ウィークサイドのスターターだったネイト・ウェインを解雇。その後ウェインはイーグルスと契約を結んだ。また、ストロングサイドのナイル・ディッグスは、バージャ=ビアミラと同様、制限付きのFAだったが、チーム再建を目指すライオンズが総額1100万ドル(約13億2000万円)近い4年契約を提示。ディッグスもこれにサインして、パッカーズに難問をつきつけた。
 制限付きFAであるため、パッカーズには移籍の拒否権がある。1週間以内にライオンズの提示条件と同額をオファーすれば良いのだ。しかし、ここでネックとなってくるのが、過熱の一途を辿るバージャ=ビアミラ争奪戦である。
 過去2年連続で2ケタQBサック。もっぱら第3ダウンでのパスラッシュ専任プレイヤーだったのが、昨季はジョンソン戦線離脱で11試合に先発出場を果たした25歳の新鋭DEである。体重115キロとNFLの守備ラインマンとしては軽量な体格が常に取り沙汰されてきたが、それを補って余りあるスピードと俊敏な動きで対戦相手のQBを恐怖の縁に追いやる。
 パス攻撃全盛の現代NFLにおいて、ディフェンスにとって敵のパサーに直接プレッシャーを与えられる有能なパスラッシャーは喉から手が出るほど欲しい人材。サラリーキャップに縛られ、各チームとも財布の紐が固くなる中でも、DEのポジションでは破格の契約が提示される。この「売り手市場」にバージャ=ビアミラ側は、1400万ドル(約16億8000万円)の契約金を含む複数年契約をイーグルスに打診、妥協点を探る話し合いが続けられている。
 もしバージャ=ビアミラ移籍を許せば、ドラフト1巡指名権をイーグルスから譲渡される上、ディッグスがライオンズと結んだ契約にも拒否権を発動できるだけの余裕も生まれる。しかし、ホリデイの移籍が確実視される中、さらにもう一人、優秀なパスラッシャーを失うことは何としても避けたいところだ。
 制限付きFA選手の他チームとの契約期限は4月18日、すでに1か月を切っている。昨季プレイオフ1回戦敗北の雪辱を期すパッカーズの今季を占う上で、非常に重要な時期となりそうだ。
[2003年3月26日]

NFLドラフト展望: 注目の兄弟選手[1]
 
 軽量スピード・パスラッシャーとして高額契約も間近のカビア・バージャ=ビアミラ。当初は誰もが発音に難儀した「来たりて我らを救う大男」を意味するその名字も、今やNFLファンには馴染みとなった。そのバージャ=ビアミラ姓を名乗るNFL選手が、来季はもう一人増えそうだ。
 カビアと同じく、サンディエゴ州立大でDEとして活躍したアクバー・バージャ=ビアミラ。年齢はカビアの2歳年下の23歳だ。プレイヤーとして4年生の2001年シーズンには、プロ入り候補選手として、さらにパッカーズで急台頭を始めたカビアの弟として、NFLからも注目を集めていたアクバー。シーズン終了後にはオールスター戦のシュライン・クラシックに出場し、2QBサックの活躍でプロのスカウトにその実力を証明した。が、3年生のシーズンだった2000年にケガのため1試合の出場に留まったため、もう1年大学でのプレイ資格が認められ、練習生としてチームに所属し試合出場のなかった97年を含め、延べ6年間大学に通った異色の選手である。
 軽量だがスピードが抜群の兄カビアに比べ、アクバーは身長196センチ、体重131キロと体格に恵まれた大型のDE。兄と同様に一歩目の出足が素速く、昨シーズンもチームトップの5QBサックをマークし、チームリーダーとしてサンディエゴ州立大を牽引する存在だった。
 昨年12月、シーズン途中に母親を交通事故で失う悲劇に見舞われた。しかし、わずか1日練習を休んだのみでチームに復帰し、週末の2002年度最終戦であるハワイ大学戦出場のため、悲しみを振り切ってハワイへ飛ぶなど、カビアとともに苦難の年を経験したアクバー。その悲しみを乗り越え、今度はNFLのプレイヤーとして、ファンに活躍を見せてもらいたいものだ。
 サイズが大型な分、兄カビアほどのスピードには欠けるアクバー。そのため、今ドラフトにエントリーするDEの中ではさほど高い評価を受けられていない。しかし、軽量のパスラッシャーが増える傾向にある現在、その恵まれた体格が魅力的なのも事実。兄弟が同じフィールドで、QBサック合戦を繰り広げる日が実現することを願いたい。

[2003年3月26日]


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