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今週のプレイヤー、コーチトピックス


ベンガルズ、早くも先発QBの座を固定
 
 昨年も2勝14敗と泥沼のシーズンを送り、長い低迷から脱するどころか、さらに深みにはまってしまったシンシナティ・ベンガルズ。左腕QBブーマー・アサイアソン(1984〜92年、97年在籍)引退以来、QBのポジションがまったく固定されなかったことが、不振の最大の要因のひとつだった。
 昨シーズンのQBの陣容は、2001年度シーズンのパス成績リーグ最下位のジョン・キトナと2000年度シーズンのパス成績リーグ最下位のアキーリ・スミスが残留。加えて元レッドスキンズの先発QBであり、2000、2001年の2シーズンはブロンコスの2番手QBとして計7試合に先発出場しているガス・ファーロットをフリーエージェント(FA)で補強。サマーキャンプでこの3人を競わせ、エースQBの座を確定する策を採った。
 昨季までのヘッドコーチ、ディック・ルボー率いるチーム首脳陣のこの判断はまったく裏目。公式戦開幕直前に駆け込みでファーロットを先発指名してから、ベンガルズのQB起用は迷走を続けた。
 プレシーズンでは安定したプレイぶりを見せていたファーロットも、シーズンが開幕するや、先発2試合でパス成功率56.4%、1TDパス、4インターセプトの大乱調。第3週のファルコンズ戦に至っては、投じた7本のパスのうち、1本も成功させることができず、キトナに途中交替させられた。
 ここに至り、前年にスターターを務めていたキトナが、第4週バッカニアーズ戦から先発復帰と誰もが思ったが、その予想は見事に裏切られる。ベンガルズはそれまでチームの3番手QBの地位に甘んじていたスミスを突如スターター指名したのだ。
 この大バクチも、強豪バッカニアーズを前にしては、意表を突くことすら叶わなかった。この試合でスミスはパス成功率わずか36.4%。117ヤードの獲得に留まり、わずか1試合の先発で再びベンチに逆戻りすることとなる。
 こうしてキトナが第5週コルツ戦から晴れて先発復帰。その後連敗はさらに3試合続いたものの、それまで1試合の得点が最高で7点だった貧攻を安定して20点台稼げるまでに回復させた。結局昨シーズンのキトナは12試合に先発、NFLで本格的にスターターの座に就いた99年以来、自己最高のパスレイティング72.9をマークし、エースQBとしてチーム内での信頼を確固たるものとした。
 今年、新ヘッドコーチに招聘されたマーヴィン・ルイスも「ジョンは自分の力を信じているし、チームも彼のことを信頼していると思う」と語り、キトナを新チームの核とする方針を明らかにした。そして、先週末から開催された新政権下で初のミニキャンプでルイスはキトナを早くも先発QBに指名、エース探しに混迷を極めた昨シーズンのベンガルズの過ちを繰り返さない意志を明確に示している。
 そればかりか、99年のドラフト1巡(全体の3番目)指名で入団以来、ことごとく周囲の期待を裏切り続けてきているスミスを2番手QBに指名、シーズン開幕まで4か月以上を残す現時点で早くもチームのQBのポジションのトップ2人を確定させたのだ。
 目前に迫った2003年のNFLドラフト(現地4月26〜27日)で、第1位の指名権を有するベンガルズ。この権利を行使して、昨季の大学界最優秀プレイヤーであるQBカーソン・パーマー(南カリフォルニア大)の指名が有力視されている。通常ドラフトいの一番で指名を受けたQBは即戦力の期待を背負わせられるものだが、すでに1番手、2番手のQBを確定させてしまったベンガルズでは、もし実際にパーマー指名となったとしても、今季はチーム第3のQBとして、プロのプレイを覚え、学ぶことに専念させることになる。
 昨年の成績から大幅な改善を望むため、ドラフトでの即戦力補強を成し遂げたいのはやまやま。しかし、ドラフト第1位指名権に見合う選手は、今ドラフトではパーマー以外に見当たらない。ベンガルズは今、このジレンマのただ中にある。
 ちなみに、ドラフトのトップ指名を受けた選手は契約金が1000万ドルを超える高額となる(昨年トップ指名のテキサンズQBデイヴィッド・カーの契約金は1092万ドル=約13億1040万円)ため、チームと代理人のつばぜり合いも苛烈を極める。NFLではドラフトいの一番の指名権を保有するチームに限り、選択希望選手との事前契約交渉が認められているため、ベンガルズとしては早々に指名選手を絞り、契約交渉に移りたいのが本音のところだ。前評判通りQBパーマー指名を行うのか、それともキトナ−スミスの現有勢力でQBのポジションを固めた今、その他の補強ポイントへと焦点をシフトさせるのか、ベンガルズの判断に注目が集まる。
[2003年4月16日]

QBカルペッパー、レイヴァンズ入りへ?
 
 NFLドラフトを目前に控え、エースQBダンテ・カルペッパーをミネソタ・ヴァイキングスがトレードに出そうとしている噂については既報の通り。当初はトレード先としてアリゾナ・カーディナルズがあがっていたが、ここにきて新たにボルティモア・レイヴァンズの名が取り沙汰されるようになってきた。
 このトレードはレイヴァンズ側が積極的に成立を目指していると見られている。昨シーズンは前年にエースQBを務めたエルヴィス・ガーバックをわずか1年の在籍で放出(その後引退)、2000年ドラフト3巡指名の新鋭クリス・レッドマンを大抜擢する策に出たが、レッドマンは腰痛に悩まされシーズン後半を棒に振り、わずか6試合の出場に留まった。代わってシーズン後半にスターターを務めていたジェフ・ブレイクは今オフシーズンにFAでカーディナルズに移籍、99年のブライアン・ビリックのヘッドコーチ就任以来、毎年先発QBが入れ替わっているレイヴァンズでは、エースQBの座を確定させることが懸案となっている。
 レイヴァンズがカルペッパー獲得に躍起になっているのにはもう一つ、理由がある。直接的な関わりはないものの、すでにカルペッパーはビリックの攻撃システムに習熟しており、移籍が成立した場合、すんなり新チームになじむことができるからだ。
 ビリックは98年シーズンまでヴァイキングスの攻撃コーディネイターを務め、爆発的なオフェンスを築いた。99年にレイヴァンズのヘッドコーチに招聘されたが、それと入れ替わるようにカルペッパーはヴァイキングスに同年のドラフト1巡指名で入団した。そして、ビリックの「置き土産」である攻撃システムを駆り、2000年からスターターQBとして活躍を見せている。
 レイヴァンズは今ドラフトで、全体の10番目の1巡指名権を有している。この指名権があれば、QBのポジションで今ドラフトのトップ評価を受けるカーソン・パーマー(南カリフォルニア大)は無理としても、それに次ぐ存在と見られているバイロン・レフトウィッチ(マーシャル大)、カイル・ボラー(カリフォルニア大)らの指名は可能だ。しかしプロのスピーディなプレイ展開と複雑な戦術システムに新人QBが習熟するまでには、とてつもない時間を要する。今すぐにQBを固定したいレイヴァンズにとっては、これはあまり「おいしい」話ではない。
 であれば、このドラフト1巡指名権をヴァイキングスに譲り、すでにヘッドコーチの戦術を理解しているカルペッパーを獲得する方が良策、とレイヴァンズが考えるのも、ごく自然な話と言えるだろう。
 ヴァイキングスにとっても、この話は決して悪い話ではない。カルペッパーは2003年シーズン限りで現契約が切れ、制限つきながらFA権を得ることになる。かねてよりヴァイキングスの現オーナー、レッド・マッコムズは球団売却を考慮しているとされ、今オフシーズンの選手補強においても、高額の契約金は支払わない方針を徹底している。そんなヴァイキングスにとっては、莫大な金額が要求されることは確実なカルペッパーとの再契約を強いられるよりも、今ドラフトでレフトウィッチら大学界のトップQBを獲得した方が、より安い契約金で済むということなのだ。
 ドラフト当日に向けヒートアップするトレード交渉。今後の両球団の駆け引きはどのような結果を生むことになるのだろうか。
[2003年4月16日]

NFLドラフト展望: 注目の兄弟選手[4]
 
 ノースキャロライナ州立大のFSテレンス・ホルトは、常に誰かの陰に隠れる存在だった。98年に奨学金なしの自主入部で同大学のフットボール部に参加、その年は練習生扱いで、試合出場はなかった。当時、同大学の4年生に、彼の兄であるWRトリー・ホルトがいた。大学界を代表するワイドアウトとして、名声を欲しいままにしていた兄の陰で、テレンスは黙々と練習に打ち込んだ。しかしその間にも、大学のジュニアチームのMVPに輝くなど、非凡な才能を見せ始めていた。
 それから4年が経ち、テレンスはノースキャロライナ州立大の不動の先発FSとしての地位を確固たるものとしていた。4年生のシーズンである昨季は、三桁タックルをマーク。3インターセプトを記録し、チームの守備MVPにも選ばれるまでになった。
 それでも、ノースキャロライナ州立大は兄トリーが在籍した当時から、華麗なパス攻撃で全米に名を轟かせる存在。昨季も1年生時からエースQBを務めるフィリップ・リヴァーズが最終学年を迎え、まさに「チームの顔」としてシーズン序盤の連勝街道を演出し、スポットライトを一身に浴びる存在だった。
 そのテレンスが、誰にも負けないと胸を張れるものがある。キック・ブロックである。
 オフェンス、ディフェンスに比べ、地味な存在であるスペシャル・チーム。そこでテレンスは大学4年間通算で13度ものブロックを記録、敵のキッカー、パンターを震え上がらせ、「大学界史上最高のキック・ブロッカー」の称号を与えられた。
 もちろん、テレンスは本職のセーフティでもプロのスカウトから高い評価を受けている。1巡指名を受けるほどではないにせよ、3巡あたりで指名を受けるのでは、というのが現在のテレンスのもっぱらの評価である。
 どこのチームに指名を受けたとしても、いきなり新人のシーズンからテレンスがスターターの座を手にすることは非常に難しいこととなる。となると、目立てる場面と言えば、当然スペシャル・チームとなる。それこそが、「トリーの弟」ではなく、「稀代の名キック・ブロッカー」のテレンスが、自らの才能を全米にアピールする最大のチャンスとなるのだ。

[2003年4月16日]


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