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今週のプレイヤー、コーチトピックス


ミニキャンプを欠席するベテラン選手
 
チームのミニキャンプを欠席したイーグルスCBボビー・テイラー
 シーズンが終わり、次の年のトレーニングキャンプが始まるまでの半年間は「オフシーズン」。チームの方針やヘッドコーチの考え方によって差異はあるものの、強制参加のミニキャンプは数回のみ。あとは自主参加のチーム合同練習があったりもするが、それ以外の期間については、自主的にチームの練習施設に顔を出しトレーニングに励むなり、故郷に帰って練習するなり、それぞれの選手の判断に委ねられている。
 チーム残留の当落線上にいる若手選手の場合は、まさに「生き残り」を賭けた闘いがオフシーズンも続いている。一方で、ある程度NFLで経験もあり、チーム内での自らの立場が約束されているベテラン選手にとっては、自主参加のミニキャンプ、チーム練習を欠席することは、さほど問題ではないのかもしれない。
 サンフランシスコ49ersの場合、強制参加のミニキャンプは5月初旬と中旬の2回。その後5月最終週、6月第1週と2度のミニキャンプが自主参加で行われている。この計4度のミニキャンプのうち、チーム随一のスター選手であるWRテレル・オーウェンズが、最初のミニキャンプに参加しただけで、残り3度をすべて欠席している。5月中旬のミニキャンプは強制参加だったが、映画撮影(!)のため球団に許可をとっての欠席となっている。残り2回の自主参加ミニキャンプの欠席の理由は明らかになっていない。それでも、「このキャンプは自主参加だから、参加する、しないの判断は選手次第だ」とデニス・エリクソン新ヘッドコーチは語っており、問題を大げさにするつもりはないようだ。
 一方で問題の火種となりそうなのが、フィラデルフィア・イーグルスのミニキャンプだ。6月の最初の2週間、イーグルスも自主参加のミニキャンプを開催しているが、この初日にCBボビー・テイラー、RBデュース・ステイリーの両ベテラン選手が欠席している。その理由として取り沙汰されているのが、ともに2003年シーズン終了後に切れる両選手の契約の延長問題である。
 「これまで俺がイーグルスに捧げてきた年月と労力を考えれば、将来的にチームが俺を戦力と見込んでいるのかどうか、知る権利はあるはずだ」とテイラーは語る。また本人は否定しているものの、代理人は夏のトレーニングキャンプすら欠席する可能性があることを示唆している。契約問題のこじれからトレーニングキャンプをホールドアウトすることが、シーズンのプレイに悪影響を与える例は数多くあり、イーグルスとしては昨季プロボウルにも選出されたディフェンスの主力選手であるテイラーのキャンプ欠席は、何としても避けたいところだろう。
 ステイリーの場合は本人、代理人とも公にコメントを発表してはいないが、同様に契約延長を求めてのミニキャンプ欠席のようだ。イーグルスのRBのポジションは、ケガで昨季を棒に振った3年目のコーレル・バックホールター、昨ドラフト3巡指名のブライアン・ウェストブルックと若手がひしめき合っており、現在28歳のステイリーの先発RBとしての立場を来季以降も保証せよ、という意味合いが強いと見られている。
 ちなみに49ersのオーウェンズも現契約は今季限りで満了するが、そのことがミニキャンプ欠席の理由かどうかは明らかになっていない。
 いずれにせよ、自主参加のミニキャンプ欠席という些細なニュースが、夏のトレーニングキャンプでのホールドアウトという最悪の事態につながらないよう、チーム首脳は今後頭を悩ませることとなる。
[2003年6月4日]

また一人、挫折を味わう『99年組』QB
 
チームを解雇された1999年のベンガルズ、ドラフト1位指名QBアキーリ・スミス
 1999年ドラフトは、「1983年ドラフトの再来」と呼ばれていた。83年と言えば、ドラフト1巡だけで6人のQBが指名を受け、ジョン・エルウェイ(元ブロンコス)、ダン・マリーノ(元ドルフィンズ)、ジム・ケリー(元ビルズ)、ケン・オブライエン(元ジェッツ)ら名QBを輩出した年である。99年もティム・カウチ(ケンタッキー大→ブラウンズ)、ドノヴァン・マクナブ(シラキュース大→イーグルス)、アキーリ・スミス(オレゴン大→ベンガルズ)、ダンテ・カルペッパー(中央フロリダ大→ヴァイキングス)、ケイド・マクナウン(UCLA→ベアーズ)と5人のQBがドラフト1巡指名を受けた。そればかりか、カウチ、マクナブ、スミスがドラフト最初の3つの指名権で指名された。QBのトップ3指名権独占は、71年以来のことだった。
 2000年代のNFLをリードしていくべき存在として、期待を集めた『99年組』QBたち。あれから4年が過ぎた今、スターダムからの脱落者が一人、また一人と出始めている。
 一番最初に「失敗」の烙印を押されたのはマクナウンだった。成績を残せないばかりか地元ファンも敵に回し、八方ふさがりの中で2001年にドルフィンズへトレードされた。その1年後に今度は49ersへトレード。そして今年5月、ついに49ersからも解雇された。ベアーズ時代に負った肩のケガはいまだ癒えず、パスのコントロールがまったく定まらない状態。再びNFLでチャンスを得られる可能性は高くない。
 そして現地6月2日、2人目の脱落者が出た。ベンガルズから解雇されたスミスである。ベンガルズは4月のドラフト第1位の指名権で南カリフォルニア大のQBカーソン・パーマーを指名、将来のエースQBとして育成していく方針を固めた。一方で今季のエースQBの座にはベテランのジョン・キトナを据え、さらに経験豊富なバックアップ役としてバッカニアーズを解雇されたばかりのシェイン・マシューズを獲得。スミスの居場所はチーム内からなくなってしまっていた。
 「とてもすばらしい日。自分の選手生活を一からやり直そうという気持ちでいっぱいだ」解雇される日のことをスミスはこう評した。大学4年時の98年こそ、パス獲得3763ヤード、32TD(8インターセプト)の華々しい成績でオレゴン大学の歴代記録をことごとく塗り替えたスミスだったが、その活躍をプロの舞台で再現することはできなかった。プロ2年目の2000年シーズンの11試合先発を最高に、過去2年の先発はともに1試合どまり。ベンガルズでの先発試合の戦績は3勝14敗、5TDに13インターセプトと惨憺たる4年間だった。
 残る『99年組』の中で、立場が安泰なのはマクナブぐらいのものだろう。カルペッパーも5月初旬に10年で総額1億200万ドル(約122億4000万円)の契約延長を結び、ヴァイキングスのエースQBとしての立場を固めたが、球団の身売りがたびたび噂されるチーム事情の中、かなりの額が契約期間後半に支払われる合意内容を見ると、いつ処遇が宙に浮くかは不透明な情勢だ。また、ブラウンズのカウチも、今年は昨季ケガで欠場中にすばらしいパフォーマンスを見せた控えQBケリー・ホルコムとのポジション争いを強いられることとなる。もしポジション争いに敗れれば、バックアップとしては高すぎる年俸もあって、チームを追われる可能性も出てくる。
 トム・ブレイディ、チャド・ペニントンら、急成長する2000年ドラフト指名QBたちとは対照的に、『99年組』QBたちは、そのキャリアの岐路に立たされようとしている。
[2003年6月4日]

アスリートQBクラウチの挑戦
 
パッカーズで再びQBに挑戦する2001年度のハイズマン・トロフィー受賞QBエリック・クラウチ
 大学フットボール界の年間最優秀選手に与えられるハイズマン賞。大学時代の活躍は決してNFLでの成功をも約束するものではなく、ハイズマン賞を受賞した選手の中にも、まったく活躍できないまま、プロフットボールの舞台を去る者も少なくない。中にはプロバスケットボールNBAのニューヨーク・ニックスで活躍するチャーリー・ウォード(93年度ハイズマン受賞)のように、NFL入りすら叶わなかった選手もいるのだ。
 ネブラスカ大のスターQBとして活躍し、2001年度のハイズマン賞を受賞したエリック・クラウチは、少なくともNFL入りの切符は手にできた。2002年のドラフトで、セントルイス・ラムズから3巡指名を受けられたのだ。しかし、ラムズはクラウチをQBとして獲得したわけではなかった。大学時代はオプション攻撃のQBであり、パス力よりも非凡な走力が売り物のクラウチを、WRとして起用しようと考えたのだ。しかしコンバートを嫌ったクラウチは、昨季開幕直前に引退を発表。レギュラーシーズンでプレイすることは一度もなかった。
 今オフ、ラムズは依然契約下にあったクラウチを放出した。そのクラウチをグリーンベイ・パッカーズがウェーバーで獲得。クラウチはQBとして、もう一度NFLにチャレンジする機会を得ることとなった。
 ラムズでの待遇とは異なり、パッカーズの春のミニキャンプではクラウチはQBとして練習している。コーチ陣を想像以上のパス力で驚かせる一幕もあったという。ただし、パッカーズに拾われたことが、即NFLデビューにつながるほど簡単ではない。昨年のドラフト指名はあくまでその身体能力を評価されたからであって、QBとして、とりわけパサーとしてのクラウチは、NFLのスカウトから評価されていたわけではない。
 パッカーズとしても、現在に限って言えば、QBのポジションに穴を抱えているわけではない。不動のエースQBブレット・ファーヴは健在だし、バックアップ要員にはベテランのダグ・ピーダーソンもいる。さらに、昨ドラフトの5巡指名でパッカーズに入団し、今春はNFL欧州のスコットランド・クレイモアズでプレイ経験を積んでいるクレイグ・ノールもチームに在籍している。ノールは今季NFL欧州第9週終了時点でリーグトップのパス成績(90.6)をマークし、その非凡さを示している。昨シーズン、まったくプレイしていなかったクラウチが、通常3人のQB枠に食い込める可能性は非常に低い。
 ただ、パッカーズのコーチ陣としても、クラウチの傑出した走力をこのまま手放すのはもったいないこと。であれば、チームの中に新たにクラウチの働き場所を見つけよう、ということで、クラウチをキックリターナーとして試そうとしているのだ。
 実際、WRとして在籍していたラムズでも、昨プレシーズンでキックオフ・リターナーとして出場し、4度リターンを記録しているクラウチ。しかしスターQBだった大学時代は、もちろんリターナー経験はない。しかし、「ブライアン・ミッチェル(今季イーグルスからジャイアンツに移籍した名リターナー)だって、大学時代はリターナーをしてなかったよ。運動能力さえ高ければ、あとは場数を踏むことと、能力を生かしたいという熱意があれば十分だ」とパッカーズのスペシャルチーム・コーチ、ジョン・ボナミーゴは語る。
 もしクラウチのリターナー起用が成功すれば、爆発的走力をキックリターンで生かせるという意味だけでなく、クラウチを出場選手登録させておけるという利点がある。つまりパッカーズにとって、かつてスティーラーズがコーデル・ステュワート(今オフにベアーズへ移籍)をゴール前のオプションプレイやトリッププレイに起用したような「スラッシュ」的な役割を、クラウチに担わせることも可能になってくるのだ。
 大学フットボール史上に残るスーパーアスリート、クラウチの能力が、NFLのフィールドでも発揮されることになるのか、パッカーズファンならずとも注目である。

[2003年6月4日]


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