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今週のプレイヤー、コーチトピックス


大学界ヘッドコーチに“立候補”
 
ワシントン大のヘッドコーチに立候補したペイトリオッツのオフェンス・コーディネーター チャーリー・ワイス
 トレーニングキャンプ開幕直前の7月のシーズンは、NFLのコーチたちにとって、少し休息をとることのできるバカンス・シーズンだ。3月のフリーエージェント解禁、4月のドラフト、5〜6月にかけて行われるミニキャプやチームの合同自主トレを経て、トレーニングキャンプに臨む約80人の選手の顔ぶれもほぼ確定し、あとはキャンプ開幕を待つばかり、という季節だ。そのため、この時期に国内外で家族とバカンスを楽しむコーチも少なくない。
 しかし、このバカンス・シーズンを揺るがす事件が起きた。舞台はNFLではなく、大学フットボール界。あの格闘家ボブ・サップの出身校としても知られるワシントン大学で起きたヘッドコーチ、リック・ニューハイゼルをめぐる解任騒動だ。この2月、スティーヴ・マリウーチ解雇後のサンフランシスコ49ers次期ヘッドコーチ候補として名があがり、実際には49ers側と接触があったにもかかわらず、その事実を否定する虚偽の発言をしたとして物議を醸したばかりのニューハイゼル。今度は大学バスケットボール・トーナメントに関し、禁止されている賭博行為に参加したとして、大学当局の逆鱗に触れた。
 すでに大学側はニューハイゼル解任の方針を固め、ニューハイゼルを謹慎処分としている。ニューハイゼル側は徹底抗戦の構えだが、シーズン開幕を数か月後に控え、誰が今季ワシントン大学ハスキーズの指揮を執るのかが注目を集めている。
 となれば、NFLのアシスタントコーチたちの名がその候補としてあがってくるのも当然のこと。1980年から83年まで、同校で守備バックとして活躍していたジム・モーラ(現49ers守備コーディネイター)に触手を伸ばすのでは、との報道もされたが、49ers広報はワシントン大からモーラとの面接許可の求めは一切受けていない、と否定している。
 逆に、自分から次期ワシントン大ヘッドコーチの座へ“立候補”した人物もいる。ニューイングランド・ペイトリオッツの攻撃コーディネイター、チャーリー・ワイスだ。すでに代理人クレイグ・ケリー氏が大学当局と接触、同校ヘッドコーチ職につき問い合わせている。「こちら側は(ワシントン大のポストに)関心があるということを伝えたかったまで。向こうの考えはまったく聞いていないし、こちらにどれほど関心を持っているのかはわからない。ワイスはヘッドコーチのポストを求めているし、ワシントン大のヘッドコーチとなれば、この国で上位10位か、15位には入る職だ。こちらから話をするのは当然だろう」とケリー氏はその意図を語る。
 ワイス自身もシアトル地元紙に対し、「(ワシントン大学出身で、現ペイトリオッツ所属の)ブロック・ヒュアードやローヤー・ミロイの話を聞いていると、ワシントン大は天国のようなところみたいだね」と前向きな意向を明らかにしている。
 ワイスは現在48歳。90年にニューヨーク・ジャイアンツのコーチングスタッフに加わって以来、名将ビル・パーセルズ(今季ダラス・カウボーイズヘッドコーチに就任)のアシスタントとして活躍、ペイトリオッツからニューヨーク・ジェッツへと付き従った。ジェッツ時代の98年に攻撃コーディネイターに就任、2000年にペイトリオッツに復帰し、攻撃コーディネイターとなった。ペイトリオッツではヘッドコーチのビル・ベリチックの許可がないと直接ワイスが記者と話すことはできないためなかなかその声は伝わってこないが、ヘッドコーチになりたいとの希望は再三明らかにされている。
 実際、斬新なオフェンス戦術で2001年度のペイトリオッツ優勝に貢献した直後、キャロライナ・パンサーズの次期ヘッドコーチ有力候補としてその名が取り沙汰されたことがある。しかし結局ワイスはペイトリオッツに残留。アシスタントコーチとしては当時の最高給と言える総額100万ドル(約1億2000万円)を超える2年契約を結んでいた。
 ニューハイゼルが実際に現職を解任されたとなった場合、ニューハイゼル不在の間の監督役を任されているキース・ギルバートソン攻撃コーディネイターの昇格が有力と見られている。そこにワイスが食い込み、念願のヘッドコーチ職を手にすることができるのか。ワイスにとって、今年はあわただしいバカンス・シーズンとなりそうな気配だ。
[2003年7月1日]

フィッシャー長期政権安泰
 
NFL2番目の長期政権を築くタイタンズ・ヘッドコーチ ジェフ・フィッシャー
 トレーニングキャンプ開幕までの休息を前に、立場の安定を得たヘッドコーチもいる。テネシー・タイタンズのヘッドコーチ、ジェフ・フィッシャーもその一人だ。1994年、まだタイタンズがヒューストン・オイラーズとして戦っていた当時にヘッドコーチに就任したフィッシャー。2003年シーズンは、チーム指揮官として迎える10年目の記念すべきシーズンとなる。現役のNFLヘッドコーチの中では、今季ピッツバーグ・スティーラーズのヘッドコーチとして12年目を迎えるビル・カウワーに次ぐ長期政権である。
 フィッシャーは、オイラーズに一世を風靡した『ラン&シュート』攻撃を導入、QBウォーレン・ムーンとともに爆発的なオフェンスを演出したジャック・パーディが94年シーズン途中に退任したのを受け、ヘッドコーチに就任。1勝9敗と極度の不振にあえいだチームを引き継いでのシーズンで、指揮を執ったその後の6試合でも1勝しかあげられない屈辱を味わった。
 その後も97年のフランチャイズのテネシー(ナッシュヴィル)移転、98年のチーム名変更など激動の中で、96年以降、3年連続8勝8敗の成績。コーチとしての手腕の高さは定評あったものの、結果を残せないシーズンがつづいた。
 晩成型と言えたフィッシャーのキャリアが転機を迎えたのは、99年。13勝3敗でジャクソンヴィル・ジャガーズに次ぐカンファレンス2位の勝率を残したばかりか、そのジャガーズをAFC決勝で下し、フランチャイズ悲願のスーパーボウル出場を成し遂げたのだ。
 翌2000年も13勝3敗の好成績。01年こそ7勝9敗と転落し、昨季も最初の5試合で1勝4敗と開幕ダッシュに失敗して周囲の批判を浴びるも、その後の10勝1敗の快進撃と、逆転でもぎ取った地区優勝タイトルに、さらにその評価は高まっていた。
 フィッシャーの旧契約には、実績によって04年まで延長されるか、03年で満了するかのオプション条項が加えられていたが、フィッシャーの手腕を高く評価するオーナーのバド・アダムズは、旧契約は今季限りで切れるものとしたうえで、契約延長の交渉に手をつけ、現地24日の火曜日に両者は新契約の合意に達した。
 「リーグでも有数の長期政権を可能としてくれたアダムズ氏に感謝したい。私はこのチームにとても忠実にやってきたし、彼もそんな私を応援してくれつづけてきた」と、フィッシャーは新契約合意の喜びを露わにした。
 対するアダムズも、「契約はジェフと私との間だけでの話。ジェフが長くこのチームの指揮を執ってくれていることが嬉しい、という以外には何も口にしたくない」と語る。新契約は旧契約期間に含まれる今シーズンの内容を引き継ぎ、フィッシャーは約300万ドル(約3億6000万円)の年俸を手にするが、06年まで延長されたその後の契約期間のサラリーについては今後詰めの交渉が行われる。現在NFLでは、ワシントン・レッドスキンズのスティーヴ・スパリアーと今季よりデトロイト・ライオンズの指揮を執るスティーヴ・マリウーチの『NFL OSAKA 2002』来日コンビが年平均約500万ドル(約6億円)の年俸で最高給と見られているが、フィッシャーにもそれと同等の条件が与えられることになると見られる。
 フィッシャー政権下での好成績により、今やリーグ屈指のエリートチームとしての地位を確立したタイタンズ。フィッシャーにしてみれば、是非ともスーパーボウル回帰と悲願のリーグ制覇を成し遂げ、オーナーの高い期待に応えたいところだろう。
[2003年7月1日]

難航するスターWRたちの契約交渉
 
チームと契約延長交渉を行うラムズWRトリー・ホルト
 チームの先輩であるアイザック・ブルースを追い越し、今やセントルイス・ラムズのエースレシーバーの座を手にしたWRトリー・ホルト。昨シーズン通してケガに悩まされたQBカート・ワーナーが戦列復帰し、再度浮上を狙うラムズのオフェンス陣を牽引していく存在として、彼にかけられる期待は大きい。
 1999年のドラフト1巡指名でノースキャロライナ州立大からラムズ入りしたホルト。今季はホルトにとって、入団時に結んだ4年契約の最終年にあたる。ラムズにとってはホルトは絶対に失うことのできない主力選手だし、ホルトにとっても契約交渉の影響をシーズン開幕後にまで持ち越したくないのが本音。自然と今オフシーズンには、両者間で契約延長の交渉が持たれることになった。
 今回の契約交渉の基準となったのは、2000年シーズン前にブルースが結んだ総額4210万ドル(約50億5200万円)の7年契約。当初ラムズ側はホルトにこれをやや下回る額を提示したものの、間もなくブルースと同等の内容に条件をアップさせた。
 しかしホルトにとっては、獲得ヤードで見れば過去3シーズン、ブルースを上回る成績を残してきており、年齢的にも、今シーズン中に31歳の誕生日を迎えるブルースにくらべ、27歳になったばかりのホルトの方が将来性は豊かだ。当然、ブルース以上の条件の契約を求めることとなる。
 2月以降、ホルト側とラムズは交渉をつづけてきているが、合意に達するにはまだ遠いと見られる。ホルトの代理人グレッグ・ウィリアムズ氏は5月以降、ラムズ側とほとんど接触すらしていないとのことだ。
 それでもウィリアムズ氏は、7月下旬のトレーニングキャンプ開幕までの新契約合意に楽観的な姿勢を崩していない。「トリーがトレーニングキャンプに合流した時点で、この問題がすでに解決されているということは、誰もが望んでいるはずだ。彼の実績、練習熱心さ、チームへの貢献度どれをとっても、新しい契約を手にするにふさわしい。キャンプまでに合意に達せることを望んでいるし、それは可能だと私は思っている」と語るウィリアムズ氏。今季終了後にホルトがフリーエージェント権を獲得し、他球団と自由に契約交渉するという状況だけは、ラムズにとっては避けなければならない。キャンプ開幕までの数週間、両者の交渉がヒートアップすることは確実だ。
 同様に、サンフランシスコ49ersのエースWR、テレル・オーウェンズも今季契約最終年を迎えている。オーウェンズは今春、参加義務のあるミニキャンプに一度参加したのみで、あとのミニキャンプはすべて欠席しており、新たに高額の長期契約を結びたい意志を見え隠れさせている。しかし、ホルトの場合もオーウェンズの場合も、チーム側との交渉が思うように進まないのには原因がある。それは、2001年にミネソタ・ヴァイキングスのスターWR、ランディ・モスが結んだ契約のためである。
 このときモスは、総額7500万ドル(約90億円)の8年契約という破格の条件をヴァイキングスから与えられた。年平均10億円以上、まさにQBのポジション以外の選手が受け取るサラリーとしては、ダントツで過去最高となる契約内容である。
 モスと並ぶNFLのトップレシーバーであるとの自身を持つホルトやオーウェンズの選手からすれば、モスと同程度の待遇をどうしても求めてしまう。しかしチーム側にすれば、厳しいサラリーキャップの制約の中、WRのポジションの選手にこれだけの高給を与えるのは、そう簡単なことではない。
 モスの契約は、それまでのNFLの常識を一変させてしまった。このことが、スターWRを何とか引き留めたいチームにとって、さらに頭の痛い問題となっている。

[2003年7月1日]


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