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今週のプレイヤー、コーチトピックス


NFL1無名のエースWRたち
 
今シーズン、スターターの座を狙うカーディナルズWRブライアン・ギルモア
 低迷をつづけるアリゾナ・カーディナルズにあって、WRのポジションはチームの数少ないウリの一つだった。2001年にリーグトップの1598ヤードのパスレシーブ距離をマークしたデイヴィッド・ボストンを筆頭に、フランク・サンダースとマーテイ・ジェンキンズを加えたトリオは、昨季のチームのオフェンスを牽引してくれるはずの存在だった。
 しかしその目論見は、見事裏切られた。3人揃ってケガを負い、シーズン後半には戦線を離脱してしまった。当然チームのパス攻撃は振るわず、獲得距離リーグ29位にまで落ち込んでしまった。
 カーディナルズの苦悩は、これで終わりではなかった。負傷からカムバックするはずの主力レシーバーが、今オフシーズンに揃って他チームに移籍してしまったのだ。ボストンは総額4740万ドル(約56億8800万円)の7年契約でサンディエゴ・チャージャーズへ、サンダースは総額880万ドル(約10億5600万円)の4年契約でボルティモア・レイヴァンズへそれぞれ去り、ジェンキンズもレシーバー陣強化を進めるアトランタ・ファルコンズと1年契約を結んでいる。
 この窮状に、カーディナルズは今ドラフト1巡でペン州立大のブライアント・ジョンソン、同2巡でフロリダ州立大のアンクワン・ボールディンと大学フットボール界の有名WRを指名、穴埋めに躍起だが、彼らが即スターターとして、ボストンやサンダースの代役を務められるかはまったく未知数だ。
 退団した選手に代わって、今季のカーディナルズの先発WRの座を担っていくのは、ブライアン・ギルモアとジェイソン・マッカドリーという、おそらく今NFLで最も無名のエースレシーバー2人となる。
 プロ2年目を迎えるマッカドリーは、ルーキー年の昨季終盤、周囲の期待以上の実績をあげた。ラン攻撃中心のアラバマ大出身で、ドラフト時の評価は高くなく、指名されたのはドラフト5巡。しかし大学では陸上部にも所属し、110mハードルや4×400mリレーの選手としても活躍したスピードを生かし急台頭、ボストンらが欠けたシーズン後半で8試合に先発出場し、パスレシーブ25回、362ヤード(1TD)獲得の活躍を見せた。レシーバーとしての技術にはまだまだ粗く、2年目の今季、成長する余地はまだまだある選手だ。
 マッカドリー以上に注目を集めているのが、ブライアン・ギルモア。テキサス州の無名校、ミッドウェスタン州立大出身で、00年にドラフト外でカーディナルズ入り。練習生としてトレーニングを積み、01年にはNFL欧州リーグでプレイ経験も積んだ。その魅力は、何と言ってもリーグトップクラスと言われるそのスピードだ。しかし、飛躍を期待された昨季はシーズン中盤に足首骨折の大ケガを負い、他のレシーバー陣の多くと同様、シーズン後半を棒に振ってしまった。ケガが癒えた今、再挑戦の1年となる。
 「NFLで先発出場したい、というのが俺の目標だった。いろんな壁にぶつかって、不可能に思えたこともあったけど、ようやくチャンスが巡ってきた。あとは、俺自身の努力次第なんだ」とギルモアは意気込みを見せる。結果がすべてのNFL、今はまったく無名の2人も、シーズンが終わったときには、立派にNFLのスターレシーバーの仲間入りを果たしているかもしれない。
[2003年7月7日]

スターWRオーウェンズがサインペン・メーカーとタイアップ
 
TD後のパフォーマンスが広告契約に結びついた49ers WRテレル・オーウェンス
 昨シーズンのNFLで、プレイ以外の面で最も注目を浴びた「事件」と言えば、10月14日、第6週のサンフランシスコ49ers−シアトル・シーホークス戦もその一つだったと言えるだろう。この試合、TDパスをキャッチした49ersのWRテレル・オーウェンズが、エンドゾーンでのセレブレーションとして、靴下からサインペンを取り出し、TDレシーブしたボールにサインをして、スタンドにいる知人にプレゼントしたのだ。月曜夜の全米中継されるゲームでのこの光景に、フットボール界のみにとどまらず、アメリカ全体で論議が巻き起こった。
 その論議の多くは、NFLプレイヤーとしてのオーウェンズのスポーツマンシップを問うものだったが、いっぽうで全米ナンバー1の人気を誇るNFLのスタープレイヤーという思わぬ広告塔を得たサインペン・メーカーにとって、この「事件」は朗報以外の何物でもなかった。
 そして今回、オーウェンズと、この「事件」で使用されたサインペン・ブランド『シャーピー』とのジョイント・キャンペーンが実現した。内容は、オーウェンズが住むアトランタの他、シカゴ、デンヴァー、セントルイス、ピッツバーグ、サンフランシスコでチャリティー・イベントを催し、収益金や教材を各地の学校に寄付する、といったものだ。
 「最初は、試合を楽しみたい一心ではじめたパフォーマンスだったけど、それが今や、地元のアトランタやその他各地に住む子供たちに何かしてあげられることになった」とオーウェンズも喜びのコメント。『シャーピー』メーカーのジェネラルマネジャーを務めるグレッグ・ストーナー氏も、「私はフットボールの大ファンだから、こういったかたちでシャーピーを知ってもらえるのはとてつもない喜びだ。(あの「事件」以来)本当に大騒ぎだったね。全国のテレビのスポーツ番組やトーク番組に登場することになって、この有利な状況を生かさないと、と思ったんだ」とキャンペーン実施の背景を語った。
 この春にはニューオリンズでの映画撮影のため、チームのミニキャンプをサボったこともあったオーウェンズ。また人気テレビゲーム「NFLブリッツ」のイメージキャラクターとして、ゲームソフトのパッケージを飾ることも決定している。昨オフシーズンにはプロのバスケットボール選手としてもプレイした。まさに、NFLの枠を飛び越え、有名人への階段を駆け足で上っている印象だ。
 この人気ぶりが、「本職」であるフットボールにどのような影響を及ぼすのか。選手に厳しい規律を課さないことで知られる49ersの新ヘッドコーチ、デニス・エリクソンにとっては、秋にはこれまでとどうよう、フィールド上のプレイでオーウェンズが目立ってくれることを願っているに違いない。
[2003年7月7日]

元大学界スターQB、ヘンソン近況
 
 2000年シーズンまで、プロ野球選手と兼業でミシガン大学のスターQBとして活躍したドリュー・ヘンソン。01年にニューヨーク・ヤンキースと総額1700万ドル(約20億4000万円)の6年契約を結んで以来、フットボール人生をあきらめ、野球に専念する生活を送ってきた。
 そのヘンソンが、今年4月のドラフトで指名される資格を得た。将来の大型三塁手として期待をかけられながらも、なかなかメジャー昇格できずにいる現状の中、フットボール選手としての才能は疑うべくもないヘンソンを強行指名するチームが出てくるのではないか、ともっぱらの噂だった。そして実際、ヒューストン・テキサンズがドラフト6巡で、ヘンソンを指名した。
 そのテキサンズのトレーニングキャンプ開幕が7月25日と目前に迫るにつれ、マイナーチームで不振を極めるヘンソンの動向が、再び注目を集めている。今季、ヤンキース傘下のAAAコロンバス・クリッパーズでプレイしているヘンソンは、7月4日時点で打率.218、11本塁打を放っているものの、77もの三振を喫し、課題の打撃で目立った成長を見せられずにいる。
 しかし、ドラフト時点でもたびたび「NFLに行くつもりはない」とフットボール再転向の可能性を否定しつづけてきたヘンソン。7月に入り、改めてその意志が固いことを明らかにしている。
 「何も状況は変わっていない。変わったとすれば、こういう(フットボール再転向の)話題がだいぶ陳腐になってきていることくらいかな。僕の目標は今までと何ら変わりはないし、NFLのトレーニングキャンプ開幕がいくら近づいても、何の影響もない」とヘンソンは語る。
 NFLに転向すれば、少なくとも現状のヤンキースよりも早くにスターダムにのし上がれる可能性はあるだろう。それをヘンソンがしたがらない理由には、野球への愛情の他、条件面的なものも見え隠れする。
 NFLでは、ベテラン選手へのサラリーを確保する目的で、各チームに「ルーキープール」と呼ばれる、新人選手に使うことのできる金額の枠が設定されており、この枠を越えた金額を新人選手に費やすことはできない。このため、ドラフト1巡指名のスター選手となれば別だが、ドラフト下位指名の選手たちが結ぶ契約は、非常に安くならざるを得ない。
 NFLでは、ヘンソンが指名を受けたドラフト6巡レベルの選手となると、結ぶ契約はだいたい契約金を含め総額100万ドル(約1億2000万円)弱の3年契約、というのが相場だ。逆にヤンキースとの現行契約でのヘンソンの年俸は、今季が200万ドル(約2億4000万円)、04年が220万ドル(約2億6400万円)、05年が380万ドル(約4億5600万円)、06年が600万ドル(約7億2000万円)となっている。今季だけ見ても、金額的に6倍以上の差があるのだ。
 さらに、スポーツ選手の契約としては異例とも言えるが、ヘンソンのこの契約によるサラリーは、すべてが保証されている。つまり、解雇されようが、上記の金額はヘンソンに支払われるのだ。それだけの投資をヤンキースはヘンソンにしているのであり、安易に手放すことは考えられないし、同時に本契約により、ヘンソンとのフットボールとの兼業も禁止されているのだ。
 NFLファンとしては、QBとしてプレイするヘンソンの姿は見てみたいし、またヤンキースで松井秀喜選手とチームメイトとして一緒にプレイする姿も見てみたい。しかし、現状ではどちらも近い将来の実現性は高そうにない。少なくとも、今年の野球シーズンが終わるまでは、ヘンソンはマイナーリーグで野球に打ち込むことになりそうだ。

[2003年7月7日]


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